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「DRNO.10135……。ああ、『デファーリロングナンバー』のことね。先に答えておくと神霊世界以外の異世界を指すナンバー表記のこと。その10135番目の世界にこの神具があるみたいなのよ」

「い、いちまん……」

そう呟いたソフィアがふらつきながらソファに倒れ込む。

「つ、つまり……。私たちの住んでる世界みたいなのが一万個もあるってことですか!?」

「別に今回行ってもらうのがその番号なだけで、もっとあるわよ」

サラッと答えたユノの言葉を聞き、ソフィアは眩暈を覚えた。もう話の規模が大きいとかのレベルではない。

「異世界の呼称なんざどうだっていい。マーベルから聞いたこともあるしな。……それよりも、だ」

雫はソフィアの様子を一瞬だけ横目で伺うと、すぐに視線を戻し、鋭い目つきでユノを見つめる。

「アンタも知ってると思うがオレたちの世界には宇宙ってものがあってだな……。何が言いたいかわかるか?」

「わかるわよ。異世界が広すぎると探し物なんて出来ないって言いたいんでしょ?」

「そうだよ。アホみたいに広い……、ましてやオレたちの世界以上に広い異世界でそんな40センチの物体なんて探せるかよ」

「あらあら? 貴方たちは神具を探知する機械も持ってないのかしら?」

「……」

煽るようにそう言ったユノの言葉を受けて、雫の眉毛が僅かに動いた。

「……あるさ。ただ、範囲を絞れても数十キロ内だ。そこからどうやって────」

「安心しなさい。細かな場所まではこっちで調査済みよ。……ただ衡神力補強地点までがちょっとだけ距離があってね」

「あっそうですか……」

雫は不貞腐れたようにソファに身体を沈めた。

「……ちょっと質問あるんだけどいいかなぁ、ユノちゃーん」

ケインが真面目な顔で手を挙げる。

「何かしら?」

「なんでそこまで詳細な場所がわかってるのにわざわざオレっち達に行かせるん? 別にそっちの兵隊さんにお願いすればいいんじゃなーい?」

「……簡単な話よ。これはね。テストなの」

「「テスト?」」

雫とケインが顔を見合わせる。

「そう、テスト。貴方たちが兵士としてやっていけるかのね」

「……それに落ちたらどうなるん?」

「さあ? どうなるのかしらね?」

ユノはとぼけたように肩をすくませる。それを見て雫が舌打ちをした。

「……それとよぉ。もう一つ聞きてェことがあるんだけどよ」

カービーが少し大きめの声量で話し出す。

「なんでこの場に大佐────、大佐橋美智とアナキズムがいねぇんだ。あの二人だって俺らと関わりがあるやつらだぜ」

「……ああ、忘れちゃってたわ。今回の任務は貴方たちだけでいいと思ってね。すっかり呼ぶのを忘れてたわ」

「そうかよ」

カービーは納得してない表情であったが、気が済んだのか元に位置に座りなおす。

「とにかく!! 貴方たちに与える任務はこれよ。明日、明後日が休みなのは知ってるからこの三日間で回収を頼むわ」

「休み返上かぁ……」

「学生にとって休みは貴重なのになぁ」

立ち上がり大きく伸びをするケインと勝平。

「「……」」

その後ろに隠れるようにして雫とカービーが視線を交差させていた。

 ◇

ほぼ同時刻

黒川家にて

「いやぁ、やっぱりキミの入れるコーヒーは格別だな」

「ただのインスタントなんだが」

リビングには足を組んでリラックスモードの美智とマーベルがいた。

「しかしあれだね。そろそろ雫君たちが帰ってくるかと思っていたんだが、ちょっと早すぎたみたいだ」

「……雫から連絡が来て、今向こうの建物を出たらしい」

「だからなんで私には連絡をよこさないんだ……」

リビングには

非常にまったりとした時間が流れている。

「そう言えばマーベル君。キミは行かなくてよかったのかい?」

「そもそも私は呼ばれていない」

「おっと~?」

美智がニヤニヤしながらマーベルを見る。

「立場上行きづらいんじゃなくって~?」

「……」

マーベルは無言で返した。

「ま。私だってあんなことのあとでは神霊世界には行きづらいしね。……私たちは似た者同士というわけだ」

美智が嬉しそうにそう言った。

「……別に私はたまに神霊世界に帰ってるけど」

マーベルはコーヒーを飲みながらボソッと呟いた。

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