いつまでも
勝利だギューちゃん
第1話
僕はあまり、体が丈夫ではない。
なので、出来るだけ太陽の光を浴びる事にしている。
太陽はひとつ。
日本だろうが、ハワイだろうが、欧米だろうが、見える太陽は同じなのだ。
なので、わざわざ外国まで、行く事はあるまい。
毎朝、7時には家をでて、夕方の5時までは、探索する。
コースは、日によって変えている。
これがまた、面白い。
「こんにちは」
「こんにちは」
顔なじみも増えた。
最近は、隣の人の顔も知らないという事が多いが、
いざという時のためにも、顔見知りにはなっておいたほうがいいだろう。
まあ、その「いざという時」が、来なければいいが・・・
自然というのは、気まぐれだ。
お昼は近くの公園で済ませている。
この公園は、池があり、貸しボートもある。
その上でお弁当を食べる、家族や恋人も少なくない。
でも、僕はベンチで食べている。
その光景を見ながらのお弁当も、美味しいものだ。
まあ、おむすびと唐揚げぐらいだが・・・
お茶も忘れずに・・・
「あっ、久しぶり」
知り合いになった女の子が、声をかけてきた。
久しく見なかったな。
「元気だった?」
女の子の問いに答えた。
「何とか生きてるよ」
「私も・・・会いたかった」
大袈裟だな。
「ねえ、よかったら。ボート乗らない?カップルは割引だよ」
「僕たち、カップルじゃないだろ?」
「細かい事はいいの。さあ、行こう」
ボート屋でボートを借りる。
「60分でいいよね?」
「お金ない」
「私の、おごりだよ。当然、私がこぐからね」
積極的なのか、仕切りたがりなのか・・・
「よいしょっと」
女の子が、先に乗りエスコートされる。
逆だな・・・
「気にしないの。さあ、レッツゴー」
女の子は、なれているのか、あっという間に、池の中央まで来た。
「ねえ、そういえばまだ、お互いの名前知らなかったね」
「そういえば・・・」
「名乗ろうか?」
女の子が、声をかける。
「いや、やめておこう。新鮮味がなくなる」
「それもそうだね」
他愛のない会話をした。
「ねえ、君」
「どうしたの?」
女の子が、遠くを見つめながら、声をかけてきた。
「忘れないでいたいね」
「何を?」
「今日という日を」
人は毎日を過ごす。
一日として、同じ日はない。
なので、とても全てを記憶できない。
ストック出来るには、限りがあるからだ・・・
でも・・・
「私は、覚えているよ。君の事」
「・・・僕も・・・」
どれくらい時間が経っただろう。
「じゃあ、戻ろうか?」
「うん」
女の子は、ボートをこぎ、受付まで戻った。
また、手を差し伸べられる。
温かい・・・
「じゃあ、私はこれで、気をつけてね」
「うん。また会える?」
女の子は、笑顔で答えた。
【君が覚えていてくれたら、いつでも会えるよ】
いつまでも 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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