グリーンフィッシュ

PREラッシュ(活動休止中)

緑色の魚

私は記憶喪失である。

何故かは知らないが。

学生時代の教授はやけに痩せていて顔色が悪かったのでシャーロック・ホームズシリーズに登場する悪役ジェームズ・モリアーティ教授と密かにあだ名をつけた。

モリアーティ教授に見えたのは私だけかもしれない。

某国からミサイルが発射された。

『トムキャット、駄目ですよ!ママは絶対に許しませんからね』

『嫌だ!今日は美味しいおやつをたくさん食べるんだ!』

アメリカ人の親子がテレビの中で喧嘩している。

トムキャットとは5歳くらいの金髪の男の子である。


『二月革命が勃発した時、レーニンは亡命地のスイスのチューリヒにいた。革命勃発の知らせを受け、ただちにロシアにもどることとしたが、大戦中でありロシア人がドイツ国内を通行することはできない。そこで極秘裏にドイツ当局と交渉し、一切ドイツ人と接触しない”封印列車”でドイツ領内を通行する条件で認めさせた。ドイツとしても、ロシアの革命が進み、戦争から離脱すれば西部戦線に全力を傾けることが出来るので、レーニンの通過を認めたものと思われる。レーニンは四月、キール港から海路ペトログラードにもどって四月テーゼを発表、ボリシェヴィキ派の指導者となるが、臨時政府はレーニンは敵国ドイツの協力でロシアにもどったのであり、ドイツのスパイの疑いがあると宣伝し、七月にはレーニンはフィンランドに逃れることとなる‥』

レーニンとはソビエト連邦の建国者であるウラジミール・レーニンの事である。

『スターリンは金日成の要請に応え、その後2カ月間で北朝鮮軍を大増強したほか、ソ連軍の将校に命じて作戦計画を作らせた。その結果、開戦時の北朝鮮の戦力は、兵員と火砲が韓国の2倍、重機関銃7倍、戦車6.5倍、航空機6倍に達した‥』

スターリンとはヨシフ・スターリンの事である。レーニン、スターリン、毛沢東、金日成、金正日。

『 毛沢東は1945年8月の日本の敗北後は国民党と連携を模索、蔣介石と重慶会談を行っていったん協定を成立させたが結局は決裂し、再び国共内戦(第2次)に突入した。共産党軍(人民解放軍と改称)は各地で国民党軍を破り、毛沢東は人民解放軍を率いて北京に入り、1949年12月、中華人民共和国を樹立して国家主席となった。国務院(内閣)総理には毛沢東の協力者周恩来が就任した。

 このように毛沢東は中国民族を帝国主義侵略から救い、封建社会を一掃して新国家を建国した、救国・建国の英雄として、1976年まで絶大な権力を振るうこととなる‥』

テレビの無機質なキャスターの声に私は辟易していた。


緑色の魚。

友人が私にグリーンフィッシュについて聞かせる。

『グリーンフィッシュは記憶喪失の人にしか見えないらしいんですよ』

私は友人に言った。

『俺にしか見えないんじゃないんだな‥』

緑色の魚は確かにいた。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

グリーンフィッシュ PREラッシュ(活動休止中) @adana21

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ