死んだら○○に転生しました!!

マサツカ

プロローグ

《どうやら死んでしまったらしい》

俺の名前は坂本辰馬さかもとたつま。16歳の高校生だ。


ただ今、絶賛死にかけている!


まさに人生最後の瞬間。流れるように頭の中に浮かぶのは今までの人生の思い出ばかり。両親の事、友達、好きな女子。色んな人との思い出が浮かんでくる。


死にかけている俺の周りでは周りにいる人達が心臓マッサージを繰り返してくれている。


そもそも、何故俺が死にかけているのかと言うと時間は数分前に遡る。


学校に来ている俺は窓際で友達と話ながら、同じクラスにいる好きな女子をチラ見するような普通の高校生だ。


担任が来て朝のホームルームが始まる。すると担任は転校生を紹介し始めた。


転校生はかなり美人の女子だが好きな子がいる俺にはあまり関係ないと思っていると偶然だが転校生と目が合う。


目が合った転校生が俺に微笑みかけてきた。その笑顔をみて雷に打たれたように感じた俺はその場に倒れこんだ。


まさに、その瞬間に本当に雷が窓から入り込んで俺に落ちたらしい。


クラスメイトや転校生、担任などは突然の事に驚いているが慌てて俺に近づいてきた。


必死に心臓マッサージを繰り返してくれているのを感じながら俺の意識はやがて途絶えていく。





目が覚めると変な所にいた。何もない真っ白な空間。


ああ、もしかしてこれが死後の世界なのかな?そんな事を考えていると突如景色が変わった。


何もない空間が真っ白な神殿の姿に変わっていく。神殿の真ん中には立派な椅子がある。


だが、俺の目は椅子の前に釘付けだった。


椅子の前には翼の生えた女性らしき人がこちらを向き土下座した状態で待機していた。


どうしたもんかと思いながらも俺が「ここは死後の世界ですか?」と声をかけると女性らしき人は土下座したまま謝ってきた。


「すみません。すみません。わざとじゃないんです。わざとじゃないから許して下さい。本当にごめんなさい。許して下さい。お願いします。」


そんな風に謝っているのか分からない謝罪をしてくるけど俺には何の事か分からない。俺が何の事か聞くと女性らしき人は俺の死について話し始めた。


どうやら俺が死んだのは、この人のせいらしい。


この人は女神様で謝って雷を落としてしまったらしい。その雷が偶然俺に落ちて俺は死んでしまったとの事。


「本当にごめんなさい。私のせいです。本当にごめんなさい。私に出来ることなら何でもしますので許して下さい!」


そう言って土下座しながら謝ってくる女神様。俺がとりあえず土下座をやめる様に言うと女神様は顔をあげる。


顔をあげた女神様に俺は驚いている。女神様の顔が俺が好きだった子にそっくりだったから。


俺が驚いていると女神様が近づいてきて手を握る。


「私に出来ることなら何でもしますので言って下さい。本当に何でもしますので!」


女神様の顔が近い。さすがに好きだった子と同じ顔で何でもするって言われると俺も恥ずかしい。とりあえず離れるように言うと女神様は大人しく離れてくれる。


「あれ?好きな子の姿なら許してくれるって思ったんだけど反応悪いな。」


え?何か今女神様の方から何か聞こえてきたような?俺が何か言ったか聞くと何も言ってないらしい。気のせいか。


「あの~。それで、今回の事故の事ですけど。どうすれば許してくれますか?」


女神様がそう聞いてくるけど俺としては何も思わないな。そりゃ、死んだのはショックだけど死んだならもうどうしようもないしな。


俺がそう言うと女神様は驚いた様子で俺に近づいてきた。


「本当に怒ってないの?私が言うのもなんだけど怒っても仕方ないって言われると罪悪感が凄いんだけど?」


俺の事を不思議な者を見るように女神様が言ってくるが俺の気持ちは不思議と落ち着いている。すると、女神様は今までの演技をやめて話しかけてきた。


「あ~あ。心配して損した。私のミスで殺しちゃったんだし怒られると思って色々考えてたのに全然大丈夫みたいね。あんたみたいな人初めてだわ。」


そう言って椅子に座る女神様。俺は女神様の変貌ぶりに驚いて固まってしまう。


「あんた。本当に怒ってないなら私の頼みを聞いてくんない?」


頼み?俺がそう聞くと女神様は急に怯えた表情になり話し始める。


「実は私がミスして死なせたのって、あんたが初めてじゃないのよね。今回の事がバレるとお姉さま達に怒られるわ。だから、バレる前にあんたには別の世界で新しい生を受けて貰いたいのよね!」


どうやら、女神様には姉がいるらしい。しかし、随分と最初の頃とは雰囲気が違うな。正直、呆れて声が出ないよ。


「あんたが今すぐ生まれ変わってくれれば今回の事はバレないかもしれないないから頼みを聞いてくれるなら一つだけ願いを叶えてあげるわ!ね、お願いだから?」


女神様が必死に頼み込んでくる。別の世界で新しい人生か。


俺が地球じゃ駄目なのか聞くと女神様は首を横に振る。


「それは駄目。死んだら別の世界で生まれ変わるのがルールなの。もし、そんな事したら確実にバレるから駄目。」


そう言って椅子から降りて俺に近づいてくる女神様。


「あなたの名前は辰馬でいいのよね?あなた、魔法使ってみたくない?別の世界なら魔法も使えるわよ。楽しみにならない?どう?」


魔法か。確かに使ってみたいな。アニメとかみたいに魔法が使えるなら楽しそうだ。


俺の様子を見ていた女神様がすかさず話しかけてくる。


「どう?別の世界で今すぐ生まれ変わる?何でも一つだけ願いを叶えてあげるわよ。」


まあ、いいかもな。俺は女神様の頼みを聞くことにした。叶えて貰う願い事は今の記憶を持ったまま別の世界で言葉や文字が分かる状態で生まれ変わる事。


「ふうん。そんな事でいいの?まあ、私は何でもいいけど。じゃあ、ちょっと誓約書のサインしてくれる?もし、お姉さま達にバレても誓約書があれば合意の上って事で多分許してくれると思うから。」


そう言って一枚の紙を渡してくる女神様。俺は誓約書に目を通していく。重要そうなのは


1:今回の事で坂本辰馬は女神に対して一切の責任を求めない。


2:坂本辰馬は今までの記憶を持ったまま別の世界の言葉や文字が分かる状態で生まれ変われる。


3:今回の事は誰にも話さないこと。例え神が相手でも話すのを禁じる。


4:生まれ変わった世界での事に女神に一切の責任を求めない。


他にも色々書いてあるけど別に俺に対して不利な事は書いてないようだな。俺は誓約書にサインして女神様に渡す。


「じゃあ、今からあなたは別の世界で生まれ変わるから!頑張って新しい世界を楽しんでね。」


女神様はそう言って俺に光を放つ。そのまま光に包まれて俺は新しい世界で生まれ変わる事になった。




この時、俺は一つだけ誓約書の一文を見逃していた。誓約書に小さく書かれていた一文。


生まれ変わるのがどんな生き物でも一切の責任を求めない。

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