神滅剣セイクリッドティア ~神を討つ刃~

あきさけ

第一章 第一部 古き神との契約

00.巨神機装ライフミラージュ、起動

プロローグを新たに書き起こしてみました。

今更感はありますが、お楽しみください。



////


「コール、ライフミラージュ、ナンバーワン」


 僕は深い森の中、ライフミラージュを呼び出す。

 ライフミラージュ、体高10メード(メートル)ほどの巨大な騎士だ。

 これには、機動鎧アーマードギアを装着した状態で乗り込む。

 今回召喚したライフミラージュは、母様の希望に従ってふたり乗りにしてある。

 僕が機装の操作を担当し、母様が魔法手として攻撃を行う。

 ライフミラージュには、乗り込んだ人間の魔法を強化拡大してくれる機能もあるため、母様が乗り込むのにちょうどいいのだ。

 メインの操縦席には僕が、サブの操縦席には母様がしっかりと乗り込む。

 これは、僕のほうがライフミラージュ慣れているというより、僕がサブ操縦席に乗り込んでいても意味がないためだ。

 僕の魔法は、下級魔法と呼ばれるものしか扱えない。

 それに比べて、母様は一部ではあっても上級魔法まで使える。

 使いどころが難しいらしいけど……まあ、なんとかしてくれるだろう。


「母様、準備はよろしいですか?」

「ええ、勿論ですよ。……夫より先にライフミラージュに乗ったとしれれば、ヤキモチを焼かれるかもしれませんね」

「それは母様がなんとかしてください。……さあ、いきますよ!」


 そういえば、父様もライフミラージュに乗りたがっていたな……。

 どちらにしても、まずは敵にいるという巨大な騎士をなんとかしないといけない。

 ここからじゃ確認できないけど、おそらく敵陣地にはきっといるはずだ。

 敵としても、領都攻略に時間はかけたくないだろうし。


 ……さあ、ここが力の見せ所だぞ。

 気合を入れろ、カイト=イシュバーン!


 ライフミラージュを本格的に起動して、魔力を操作し武器を作り出す。

 作り出した武器は使い慣れている両手剣。

 五歳の時、ロキからもらった魔剣によって、僕の体には両手剣を扱うための技術が叩きこまれたらしい。

 ……それを引き出せるようになるため、必死で鍛えてきたけど。


 ともかく、武器の準備もできた。

 僕は、ライフミラージュの背部にある魔導ブースターに魔力を込める。

 魔導ブースターは、魔力を推進力……というのに変えて動くための装備。

 推進力とかはイマイチよくわかってないけど、ともかく、早く動けることは変わりない。


 魔導ブースターで敵陣目掛けて飛び出し、陣地の近くに着地。

 そこからは、両腕に備え付けられていた、魔導バルカンという武器を使い、敵兵を蹴散らしていく。

 魔導バルカンは、魔力を弾にして撃ち出す装置……とのこと。

 下級魔法を連続して射出しているようなもの、と僕は理解している。

 それによって、敵陣地や敵兵が被害を受ける中、味方の騎士たちも到着し大暴れを始めた。

 深夜に襲撃したこともあって、効果は抜群、敵陣は蜂の巣をつついたような大騒ぎだ。


 ……だが、連絡のあった、巨大騎士の姿はまだ見当たらない。

 周囲を警戒していると、突然、背後から衝撃を受けて吹き飛ばされてしまう。


『……ちっ! なんで、神の加護を受けていやがらない、ゼファーの連中が『機人』を持ってやがる!?』


 僕たちの前に現れたのは、僕の操るライフミラージュよりも少し大きめな、金属で作られた人型だった。

 それは、ライフミラージュにある程度酷似しており、これが、伝令兵の言い残した敵であることは間違いなかった。


『まあ、いい! メイガスⅡ型、ギガス! てめぇをぶっ壊して、次はイシュバーンだ!』


 あちらは、僕たちのことを戦闘相手として認識したらしい。

 どうやら、あれを破壊しない限り、こちらの勝利にはならないと思う。


「カイト、あれは倒さねばならない相手です。覚悟はできていますか」


 覚悟、それはすでにできている。

 さあ、戦闘を始めよう。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 これは決して遠くない未来、カイト=イシュバーンに起こること。

 それは神と神の代理戦争の幕開け。

 世界を守るため、神を討つのか、討たないのか。

 すべてが始まる瞬間だった。

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