おにぎり

とまと

第1話

 だって。


 忙しかったんだもん。


 今は、会社が合併したばかり。


 お互いのやり方の、良い部分を取り入れつつ。


 どうする。


 こうする。


 打ち合わせばっかり。


 でも、通常業務は待ってくれない。


 帰りは、毎日、最終電車。


 駅からマンションまでは、徒歩10分。


 深夜1時近くに帰って、ゴハン作る気力なんてないよ。


 こんな時間に、空いてる店は限られる。


 24時間営業の、牛丼屋かコンビニかってところ。


 とりあえず、空腹が満たされれば良い。


 疲れて、食べずに寝ちゃう事もよく有るし。


 そんな日は、栄養ドリンクを飲む。


 確かに、食生活はボロボロだった。


 部屋に帰ると、電話の点滅が目に入る。


『ピッ。 留守電1件です。』


 また、実家の母からだろう。


『もぉ、また、留守? ねぇ。ご飯ちゃんと食べてる? たまには、連絡しなさいね 』


 はぁ。やっぱり。


「わかってる。わかってるよ。でも!今は!忙しくて時間がないの!!」


 電話に向かって、ひとりごちる。

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