僕は君に嫌われることだけは耐えられない
エトナ
第1話 奇跡
高校生の朝は遅い。いや、僕が遅いだけだろう。学校に行くことが毎日億劫な僕は気持ちを反映するかのように寝起きが悪い。部屋で目覚ましが大きな音で鳴り響いて7時になったことを僕に知らせようとするが結局起きないので母親に叩き起こされて1日が始まる。
のそのそと階段を降りて顔を洗い、髭を剃る。あまりにも眠いため洗顔が終わっても半目の状態で半ば彷徨いながらリビングの自分の席に座る。今日はクリームパンと卵焼きだ。それをゆっくり食べながらニュースを見て少しずつ覚醒していく。起きて30分も経てば流石に目が開いてくる。
歯を磨いて全ての教科書が入った重いカバンを背負って自分の愛用の自転車に乗る。中学校の入学からずっと使っているママチャリで雨の日も台風が来ている日もこいつと一緒に学校に行っている。
高校に行くのも憂鬱だが道中も楽しくない。朝から仲良く登校するカップル、雨の日も台風が近づいている日も毎日欠かさず出勤する中年サラリーマン。正直、朝から仲良く登校しているカップルは正直妬ましく、いろんな意味で目に毒である。そんな素晴らしい青春を送っているカップルとは反対に、目にくまを作ってよれよれのスーツを着て毎日出勤しているサラリーマンのようにはなりたくない。しかし、今のままでは…と考えると将来が怖くなってくる。
そんなことを考えているうちに学校の正門が見えてくる。
ここまでで5組くらいのカップルを見たがいつ見ても心が痛む。自分の将来は大丈夫なのだろうかという心配で。
僕は朝に弱いため1限は居眠りをしてしまうことが多い。1限に眠くなるのだから当然登校してすぐも眠い。僕は朝のショートルーム(SR)が始まるまで眠ることにした。
担任が入ってきて席につけという声で再び覚醒する。しかし、不十分な覚醒のため瞼が重い。
担任の話は大抵下らない自分の話と連絡事項だ。今までの経験上、重要な連絡事項は黒板に書いてくれるので聞き逃しても問題ない。僕の席は先生から見て1番右後ろの窓席だ。ここは眠っていても全くバレないのだから僕にとっては最高の席と言える。そうこう考えているうちに先生が出ていく。次の授業は移動無し、教科書、ノートは机にもう入れてある。授業で使うプリント類などの準備するものも何も無し。僕はそのまま眠り続けようとしたのだが…
「あの〜…」
「…はい…?」
「えっと、転校してきた
「はい…」
この時僕は眠りから急に覚醒したことと、朝に弱いことが影響して自己紹介が全く頭に入らないから相手のことをあんまり把握できていないのだが…
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