10日目 分かれ道

真っ赤な夕日を背景に

彼が振り向く


大きく振られた手

逆光に隠れた表情を見ることはできない


何故だかもう会えない気がして

さようならが口先で止まる


何も言わない私に

それでも彼は満足そうに

背を向ける


まばたきの一瞬に彼の姿は搔き消え

夜の帳が降りていた


何か夢でも見ていたような

ふとそんなことが頭をよぎった

気のせいかと思い直し

私は目の前に見える”一本道”を歩き出す


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