第13話 寿命

ずっと子供でいたい。


だから、私は今年の誕生日もプリキュアの玩具を買ってもらう。


ずっと子供でいたい。


だから、私は今日も学校へ行く前にいないいないばぁを見た。


ずっと子供でいたい。


だから、今夜もおしゃぶりを咥えて眠りにつくの。


私は子供。


永遠に、子供で居たい。



私の幼馴染みは、戦隊ヒーローが好きだ。


バイトをして玩具を全種類買い揃えているらしい。


「お前、ほんとにプリキュア好きだよな!」


私の趣味を否定しないのは幼馴染みだけ。


学校のみんなは、文房具も少女向けのキャラクターの物で揃えている私を馬鹿にするもん。


「いいんじゃね?お前はそれで」


そう言ってくれるのは幼馴染みだけ。


「私達はずっと子供でいようね!」


そう言うと、幼馴染みは笑顔で頷いた。




そんな幼馴染みが、ある日。


「ずっと好きだった。付き合ってほしい。」


私に電話してきた。


「こんなに気が合うのはお前だけなんだ。俺の趣味だって馬鹿にしないし。」


スマホを持つ手が震えた。


それは、喜びでも怒りでも悲しみでもなく。


「だから、俺と――」


「ずっと子供で居ようって言ったよね?」


幼馴染みの声を遮った。


「……え?」


戸惑う幼馴染みの声。


「私達はずっと子供で居る約束でしょ!!」


私は電話を切った。


幼馴染みが何かを言いかける隙も与えずに。


「嘘吐き、嘘吐き……!」


その夜、私は一晩中涙を流し続けた。

プリキュアの枕が濡れた。


その夜から、私は子供じゃなくなってしまった。


私を子供で居させてくれたのは、幼い頃から変わらなかった幼馴染みだったんだ。


彼を失った私はもう子供で居られない。



17のクリスマス。


私の「子供の魔法」は解けてしまった。


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