ダンジョンでも文化祭計画 前編

「文化祭、おもしろそうな祭りっすね! あたしらでもやってみたいっす!」

「ふんっ! これだからちゃらんぽらんは、主様の護衛ならば祭りに現を抜かすなど言語道断だ!」

「真心様、相変わらずでゅら娘様とフィル娘様はこの調子で御座います」

「う~ん、相性の問題かもねぇ」


 美術部での文化祭の話題から数日後、ダンジョンでも文化祭の事が話題にされていた、今日はでゅら娘の屋敷の真心の畳部屋、真心とシスタにでゅら娘、そしてフィル娘と名付けられたというかでゅら娘のフィルっちから転じたフィル娘の名前が完全に定着してしまったフィルギャの4名だ。


「でもダンジョンで文化祭は面白そうだね、虎徹達ゴブリンとかは何か作ったりするのが好きだしお祭りでそういうのを発散させてみるのもいいかも」

「ふむ、主様が望むのであれば私は異存ございません」

「お硬いっすねフィルっちは、こういうのは皆でパーッと盛り上がって楽しく遊ぼうって企画っすよ、そんな難しい顔じゃ駄目っすよ」

「貴様は逆にシャンとしてみろ、今日こそはそっ首撥ねて頭の中身を詰め替えてやろうか?」

「お、やるっすか? そしたら、アタシの槍がフィルっちをザクッとやるっすヨ、血が抜けてちょっとは落ち着いた性格になるっすかもネ」

「まぁまぁ、抑えて抑えて……いっちゃったよ」

「文化祭の件については私からお話させていただきます、それでは」

「うん、よろしく~、二人も仲良くしてくれたらいいのにな」


 とうとう二人の喧嘩に火が点き始めた、真心が宥めようとするが、フィルギャは剣をでゅら娘は槍を取り始め、屋敷の外へと飛び出しお互い何も言わずに振りかぶり始める。毎度毎度、売り言葉に買い言葉で喧嘩を始めるのがすっかり日常だ。

それをしり目に今回の文化祭の件をシスタは他の者達に伝えにいくのであった。


「文化祭でござるか、実は拙者も空様から文化祭なる物の話は聞いてたのでござる。それでエルフと協力して祭りでも催すかと議論したのでござるよ」

「左様でございましたか、それで首尾の方は?」

「うむ、そうでござるな…………」


 シスタがまず向かったのはゴブリンのリーダーたる虎徹の住まう安住城。

そこで虎徹に文化祭の事を聞いてみれば虎徹もまた空から話を聞き面白そうだと自分たちでもやってみようとまずは最近何かとモノ作りなどで密に関わるエルフに打診したところ、エルフ達も新参者の自分たちの事をよく知ってもらういい機会だろうと乗ってきたのだ、エルフとの交渉は虎徹達が任せて欲しいとも言ってくれる。

 それを聞きシスタは良い報告が出来そうだとその場を離れ次の話相手の下へと飛ぶことにしたのだった。


「ほほう、文化祭とな、詳しく聞かせて貰おうではないか」

「なのです!」

「はい、真心様の学校では…………」


 次に向かったのはフェアリーとその護衛であるドラゴンのヴィオが住まう小屋。

丁度エルザが休憩中だったのか二人で獲れたての果物と一緒に紅茶を飲む所にシスタは居合わせた、これ幸いと真心から聞いた文化祭の話をすれば二人ともかなり乗り気


「ほほう、なんとも愉快そうな祭りじゃな、主殿の友達がメイド服を……主殿が来て妾にご奉仕してくれんかのぉ、あ、逆でもよいな」

「私もフリフリでカワイイメイド服着てみたいのです!」

「ふむ、ゴブリンの女衆などに話を通せば作ってくれるかもですね」

「では早速、良い話をありがとうシスタよ、エルザ、ゴブリンの所へ飛ぶぞ!」

「はいなのです、ヴィオさん!」


 若干ヴィオは邪な感情を抱きながらエルザは可愛い服を着たいと言う純粋な思いから文化祭の計画に協力をする事にするのだった。

 それを見届けてからシスタは次はとまた別の相手へと話を通しに行く事にするのだった。

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