引き分け、協力
「引き分けだな」
「そうだね」
「勝負をつけたいか?」
「私は別に」
「俺もだ、それよりも俺達は協力するべきだろう」
「協力?」
料理勝負は二つに意見が分かれ勝者無し、俊介の一言で真心も認める。勝負をつけるかも俊介は尋ねるが真心はそこには特に頓着しなかった。
むしろ、真心が気になったのは協力という言葉だ。
「ダンジョントレーナー同士で結託するのは別段禁止されていない、だとしたら俺達は何かしらの形で協力が出来ないだろうか」
「例えば?」
「そうだな……俺が戦った相手の情報と安達の戦った相手の情報の交換とかな」
俊介が求めたのは安達が戦って来た相手の情報、そしてそれと引き換えに自分の情報を提供する事を持ち掛ける。
「安達、このダンジョンバトルは正直な事を言えばヤバいぜ、平気で兵器を使う奴らが上にはいくらでもいる」
「それなら、私のゴブリン達だって爆弾や毒だって使うけど」
「ダンジョン以外でも使うような奴らだとしたら?」
「え?」
俊介は一部のダンジョントレーナーの事をかいつまんで説明していく、今まで俊介が相手にして来た中には現実の世界でこの世界で作った拳銃、爆弾、武器、その他等ダンジョンから現実に持ちだせる代物で完全犯罪を成してきた悪逆非道の存在もいると言う事を。
「そういった奴らは容赦も手加減も油断もない、ガチの悪逆非道だ、少しでも軽い気持ちで戦ってたら首が飛ぶぜ」
「そういった相手によく戦って勝って来たもんだね、君は」
片づけを終えた真路が二人の会話に割り込んでくる。
「っは、俺自身が生まれた時から悪そのものでしてね、そういう輩相手に慣れたくなくても慣れてるんですよ、喧嘩だけならこっちが上手で す、それにアイツらがいますから」
俊介は酷く淀んだ眼をして言い放つ、しかし、すぐにその目は優しそうな眼となり中庭で笑い合う真心のマモノ達と遊ぶ自分たちのマモノ達に向ける。
「そういう訳だ、今度俺が戦ったそういうヤバい奴のリストとマモノの特徴を覚えてるだけノートに纏める、よかったらお前の方もこれまで戦って来た奴を纏めといてくれ、また適当なダンジョンバトルでこうしてコンタクトを取ろう」
「うん、でも、ダンジョンマスターになるのは私だよ」
「それは俺にとってどうでもいいんだ俺の神様は、むしろダンジョンランキングを上げるなって言ってるのさ、格が上がると会合とか怠いらしいぜ」
「そうなんだ、あ~、うちの神様もそういうのは嫌いそう、でもなんでそんな神様が伊藤君に力を貸してくれたんだろうね」
「さぁな、まあ、この力のおかげで生活が何とかなってるから、神様には感謝だよ」
「そっか、お~い、皆そろそろ帰るよ、という訳で、またどこかで!」
「応」
真心は俊介とダンジョンバトルの相手の情報を交換し合う事を約束する、真心もそろそろと遊び始めていたマモノと他の二人に声をかけて瞬間移動していく。
「…………俊介、新しいバトルだ」
「そうか酔いは取れたか、レオン?」
「おう兄弟、次の相手は李白っていう中国人だな、相手は自分が防衛で臨んでる」
「そうか、シルキー武器を持ってこい、てめぇら! カチコミだ!」
「畏まりました坊ちゃま」
「はぁ……夏休みの宿題はまた今度か」
真心が帰ったそのすぐあと、酔いが覚めたレオンが俊介にダンジョンバトルが申し込まれた事を説明する、それを聞けばすぐにシルキーに武器を持ってこさせる。
それは日本刀、俊介はそれを腰に差すと他のマモノに声をかけ瞬間移動で戦いの場へと向かう。
夏休みの宿題がまだ終わってない事に嘆息しながら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます