バカンスと次の相手

「ゴブリン渾身の一作! 水機関銃!」

「あばばばば、っちょ、これは痛いっすよ、マジで水っすか!?」

「水でござるよ、ただゴブリン独自の魔法回路が魔力を込める事で作動する事によって発射時に強い回転と推進力を付ける為かなり痛いでござる、使い方次第でゴブリンでもレベル3ならいけるやもしれぬでござる」

「そんなもんを仲間に向けるんじゃないっすよ!」


 夏休みも刻一刻とすぎる昼の真心達のダンジョンではゴブリンが現実で言う機関銃の様な形をした木で作られたそれを操作しでゅら娘を海水塗れにして遊ぶなどして。

なんとも自由な日々が過ぎ去っていた。

 しかし甘んじてもいられないと真心はその姿を見ながら水着に着替えながらも考えて。


「真心様~、トロピカルジュースなのです、どーぞなのですー」

「ありがとー、エルザー、うんまーい」


考え……


「まこ、ねー、みてこれ」

「わー、綺麗な貝殻だね、アンナちゃん」

「ん!」


 かn…………


「どわー、機関銃を鹵獲されたでござる、総員、退避! 退避ー!」

「アヒャヒャヒャヒャ! 全員ずぶぬれになるっす!」

「やっちゃえ、でゅら娘ー」


……考えていなかった、サンダーバードも取り返し、犬山以来誰もダンジョンバトルを仕掛けてこないのを良い事に、マモノ総出でバカンスなどゆるく過ごしていた。

ちなみにアンナはあれから勉強を頑張ったのか少しだけなら日本語を喋れるようになっていた。


「真心様、後2つ勝てば10勝、10勝すれば、ランキング圏外から抜ける事が出来ると思います、積極的にバトルを行ってみてはどうでしょうか?」

「ムリだって、ほら、LEDライトがあれだもん」

「ヒカリゴケをお使いになっては?」

「あんなちっちゃい光じゃ見える者も見えないよ」

「でしたら……どうでしょう?」

「なるほど、確かにそれなら暗いのも平気かも? 出来たらだけどさ」

「もしくは光を出すマモノをお作りになればよいでしょう、散々バトルで魔力は溜まってるでしょう」

「それもそっか」

「そうこう、言ってるうちに連絡です、お繋ぎください」

「はーい、もしもし」

『あー、あー、どもども、繋がったかな? 俺は力原龍二りきはらりゅうじだ、ダンジョンバトルを申し込みたい』

「タイミング悪いなぁ、何で勝負するの?」

『ダンジョンの攻略か防衛選ばせてやるよ』

「ブックのマモノを見てからでも?」

『おう、構わないぜ』

「ありがとうございます、どれどれ…………うん、受けるよ、それと賭けの対象、私はこのドラゴンを選ぶね」

『ふぅん、まぁいいや、で、攻略は今からでもいいぜ?』

「30分頂戴、後でこっちから連絡するから」

『おっけ、ま、精々無駄に足掻くんだな、はっはっは!』


 突如現れた真心と同じくらいの背丈の中学生くらいの少年が現れダンジョンバトルを申し込んでくる、自分が高校生であると説明したところでどうせ笑われるのがオチなので口調などの失礼な部分はスルー、そして龍二のダンジョンに攻略に行くのが決定した、しかもその勝負で賭けの対象に選んだのはレベル5のマモノたるドラゴンなのであった。新たな勝負が幕を開ける

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