異世界人の素性
金髪褐色少女が拾われ数時間、シスタと少女の会話はようやく終わりを見せた。
そして真心は彼女がどういった経緯で此処に来たかをシスタから知る。
「名前はアンナちゃん、村が襲われて父親に小舟に乗せられ海に流されそのままここまで漂流してきた、で浜辺で首なしお化けを見て気絶して、気づいたらここにと」
「その通りでございます」
「それってもしかしてあたしっすかね、どもども首なしお化けデュラハンっす」
でゅら娘が冗談めかしながら頭を持ち上げればそれはすんなりと離れる、その姿に少女もといアンナは驚きの声を上げ恐怖して畳を濡らしてしまう、虎徹が頭をひっぱたき、シャルルが魔法でその頭を思い切り首に付け直す。エルザは少女を宥めようとするがアンナは泣き出してしまうのだった。
「でゅら娘殿もう少し考えて行動するでござるよ!」
「泣きだしてしまったじゃないかニャ!」
「シャルルっち、もうくっついたから力いれないで、痛い、痛いっす」
「だ、大丈夫なのです、怖くないのですよー」
「でゅら娘もちょっとは考えようね、シスタお洋服を変えてあげて」
真心の一言で服装が変わる、夏らしくノースリーブにショートパンツ、へそ出しがチャームポイントな、いかにも南国で育った活発的な少女のような姿になった、これには宥めていたエルザやアンナも驚きアンナは泣き止むのだった。
「とまぁ、これでよし、後は国って言葉がないって本当?」
「はい国という言葉が彼女の言語に無いのは本当でございます」
「村はあるのに? どういう事だろ?」
「…………ふむ、吾輩の推測だけど、聞いて欲しいのニャ」
「お、シャルルは何か思いついたの?」
「彼女はおそらくだけど、どこかの大陸の先住民だニャ」
「「「「先住民?」」」」
「なるほど、その線はありそうでございますね、考察拝聴させていただきます。
シャルルの考察はこうだ。
この島から視認できない位置に二つの大陸がある、それも割と近いだろう。
そうじゃなきゃ、少女はここにたどり着く前に力尽きてる。
そしてその一つには大きな国家が存在しておりそれはその大陸全土を征服している規模だろう。もう一つはアンナがいた大陸、こちらは村規模の集落があるだけの大陸。
ある日、大きな国家は自身の領土を増やすべく別大陸へと進出。
そして見つけた新大陸の先住民の集落などを襲撃、略奪、自らの領土にした。
「と、めでたしめでたしなのニャ」
「いや、めでたくないでござる、その新大陸の先住民はどうなるでござる?」
「うーん、別大陸から来た病原菌の免疫が無くて死んじゃったり、侵略者の娯楽目的に狩猟されたりするんじゃないかニャ?」
「シャルル殿、いささか発想がえぐいでござる」
「シャルルっち、あたしもドン引きっす」
「吾輩が考えたんじゃないのニャ」
シャルルが二人にドン引きされるような事をしってるのは菖蒲が持って来た歴史の本や参考書を読んでいたからだ、我々の世界の歴史と照らし合わせればこうなる。
先住民に興味があるなら次の自由研究で調べてみたりすればいいだろう。
さて、そんな考察なんかが終わって、次はアンナをどうするかという話題だが
「アンナちゃんが良ければ、この島で一緒に暮らしたいな、どうかな?」
真心の言葉をシスタが通訳すればアンナは小さく首を縦に振る。
こうして異世界人の少女アンナが真心達のダンジョンの仲間入りを果たすのだった。
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