第三章 先輩とケットシー

部活探し

 GWが明けた5月の教室、真心と空は一枚の紙を前に悩んでいた。

その神とは部活の入部届だ。真心は4月の間、砦作りに忙しくその間部活についても考えていなかった、それは真心に付き合っていた空も一緒であった。


「空ちゃん、入りたい部活とかある?」

「中学はバレーやってたけど、高校はいいかな」

「どうして?」

「その、飛んだりすると胸が揺れてちょっと痛くて」

「けしからん胸だ、こうしてやる」

「揉まないでよぉ」


 空は中学の頃はバレー部に入っていた、背もそこそこにあるのでレギュラーもしていたが、2年の冬から胸が急速に成長してからは飛んだりすると、胸が揺れ痛かったりで集中できず、3年の大会ではレギュラーを外れ、引退後もバレーはしていない。

その為、高校では運動系の部活以外に入ろうかと思っていた。


「真心ちゃんは入りたい部活あるの?」

「う~ん、美術部とか?」

「良いと思うよ、真心ちゃん絵も好きだもんね」

「まぁね、問題は活動場所が分からないんだよね、放課後に美術室覗いたんだけど、誰もいないの」

「保険室隣の第二会議室だよ」

「あ、伊藤君もしかして美術部?」

「部活の先輩が話してたのを聞いたんだ、真っ白な美術部の部員の話」


 二人の会話、真心が提示した疑問に後ろの席から俊介が声をかける。

 俊介の言うにはなんでも美術部の部長は先天性白皮症せんてんせいはくひしょう分かりやすい言い方をすればアルビノと呼ばれる疾患があるそうだ。

 そしてなんでか分からんが部活動は第二会議室でやっているとか。


「ふむふむ、じゃ、放課後行ってみる、そういえば伊藤君は部活何?」

「家庭科部」

「へぇ以外だなぁ」


 空は俊介の入っている部活の名前を聞き意外だと零す。


「部費でタダ飯食えるからなそうじゃなくても材料はカンパだから食費が浮く」

「うわぁ、ケチくさ」

「貧乏舐めるな」


 俊介はそれになんとも切実な返答をするのであった、この少年の素性は詳しくはまだ語らないが、どうにもかなりの貧乏のようだ。


「ま、とにかく、美術部に入りたいなら第二会議室だね、ありがと」

「ああ、それと人がいないが、どういう事だ?」

「あ!? 次は移動教室だよ真心ちゃん! 伊藤君!」

「部活決めるのに夢中で忘れてた! 走るよ、空ちゃん、伊藤君」

「廊下は走っちゃいけない、ワシントンも謝って許された少しなら平気だろう」

「不良みたいな格好してるのに変なところで真面目!」


 部活選びに夢中になる真心と空、そしてさっきまで居眠りをこいていた俊介は次の授業が移動教室であることを忘れていた、二人は大急ぎで準備をして走って向かう。

一方俊介は謝れば大丈夫だろうとゆっくりと忘れ物の無いように準備をして向かう。

  

 三人は結局遅刻して先生に叱られるのであった。

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