決着!
「は、はは、なんだよ、拙者とかござるとか時代錯誤もほどがあるね、ま、覚醒した所であの量のゾンビやスケルトンを倒せるものか」
「…………ゾンビ達を失う前に降伏して、三治ちゃん」
「何?」
三治は今だ慢心していたサムライゴブリンを所詮はゴブリンとまだ侮っていた。
しかし、マインはその強さを既に感じていた、このままでは多くの兵を失い負けてしまうと、今すぐにでも降伏するべきだと、いつも肯定的な言葉しか言わないマインが初めて三治に否定的な進言をしたのだ。
「このページ、サムライゴブリンって出てる、えっと……」
サムライゴブリンにはこんな資質が備わっていた
・ゴブリンの能力の他、下記の力を持つ
・剣の達人であり、他に槍や弓を使う術にも長ける
・高い道具作成能力、建築能力、防衛戦術能力を持つ
「覚醒は何を思ったかで特性が変わります、このサムライゴブリンはおよそ何かを作りたい、何かを守りたいという強い思いからでしょうね」
「覚醒すると特性意外に何か変わるの?」
「レベルが1つ上がります、このサムライゴブリンはレベル3で御座いますね」
「レベル3、一般人が瞬殺レべルだっけ?」
「それだけではございません、今頃向こうの陣営は大混乱でしょう」
三治は狼狽していた、何故だか分からない、自分のゾンビやスケルトン達が物言わぬ山に代わっていたのだから。マインはやっぱりといった顔で爪を齧り苛立つ。
マモノが直接戦った時の勝敗はレベルが高い方になる、レベル2ではレベル3に勝つ事は絶対に不可能なのだ、これが作戦や罠を使えばまた話は別だが。
ゾンビはリッチの力で操れるとは言え、力技しか無い。
つまりは、何体ものゾンビが一瞬で首を飛ばし、スケルトン達も一瞬でその身体を粉々にされ、サムライゴブリンが一人で包囲していたもの全てを倒してしまうのだった。
「次は誰が挑むでござるか? それともお終いでござるか?」
今サムライゴブリンが手に持っているのは木剣でなくスケルトンから無理やり奪い取った両手剣であった、今のサムライゴブリンに木剣では小さかったので奪ったのだ
「ま、待て、サムライゴブリンとか言ったか、は、話をしようじゃないか」
「お主と話す気など一切無いでござる、10数えるだけの時間をやるでござる、拙者と戦って死ぬか、降伏するかを選ぶでござる、10……」
剣を構えたまま、狼狽する三治に対してカウントダウンを始める。
「ぼ、僕の部下になる気はないか?」
「9……8……」
「お、女も、食い物も住処も、全部思うがままだぞ」
「7……6……」
「おい、カウントを止めろ、止めろって言ってんだろ!」
「降伏する気になったでござるか? 4……3……」
「僕の部下になれば好き放題出来るんだぞ! 欲しいモノなんでもやる!」
「拙者が欲しいのは空様の笑顔だけでござる、1……0でござる、しからば」
「分かった! 降伏する! 降伏するよ! だから殺さないでくれ!」
「その答えを聞けてよかったでござる、全軍に攻撃を止める命令を出すで御座る」
「あ、ああ、マイン、リッチ達に攻撃を止めるように伝達してくれ」
「え、ええ」
剣を振り下ろそうとするサムライゴブリンに尻もちをつき涙目になりながら
三治は降伏を宣言すれば、サムライゴブリンは剣を下ろしすぐに命令を出すように命令し、三治は言われるがままに攻撃を止めるよう指示する。
こうして3日に渡るダンジョンバトルはここに終わったのであった。
「ふむ、夜が明けたでござるな、とても清々しい気分でござる」
戦の終わった時、いつの間にか夜は明けており太陽が顔を出していた。
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