補佐役

「ここが異世界? 普通の洞穴みたいだけど」

「そうね、ここはダンジョンの中だもの、あ、そうだこれお靴ね」

「あ、わざわざ、ありがとうございます」

「いえいえ、どういたしまして」


 真心がダンジョントレーナーになると決め引き出しの中へと入っていき降り立った先は洞穴の中であった、靴下のまま来てしまったのを女神はすぐに気づき。

靴を用意してくれる、履きなれたスニーカーというか真心がいつも履いてる奴の新品であった。


「それで、私はダンジョンで何をすればいいの?」

「まずは補佐役を作る所からね」

「補佐役?」

「貴方のダンジョン形成と発展を補佐する、マネージャー、秘書、そういう子よ」


 女神が補佐役と呼んだのは真心が向こうの世界にいる間のダンジョンの管理や維持を行う存在の事だ、真心は今こそ休み中で暇な身であるが、後1週間後には高校生活が待っている、女神だって花の女子高生に高校生活を削ってまでダンジョンマスターになって貰いたいなどとは思っていない、むしろ真心には素晴らしい高校生活を送ってもらいたいと思っているくらいだ。自分がいつでも見守っていければいいが、それは難しいのでその為の補佐役だ。


「という訳で、補佐役だけど、はいスケッチブックと色鉛筆」

「え、いきなり何なんです?」

「補佐役は貴方の理想の人物を神様がそのまま作る事になってるの。だからそのスケッチブックに書いてみてね、キーワードの箇条書きとかでもいいわよ」

「わかりました、とりあえず女性の方が気が楽かなー、どんな感じの人にしよ」


 女神は一冊のスケッチブックと色鉛筆を用意する、補佐役はダンジョントレーナーの想像が影響され作られる、少し考えてから真心はそうだと一言呟いてからサラサラと絵を描き始めていく、描かれたのは赤髪に褐色の肌でやや筋肉質な女性であった。

執事服を来て凛々しい顔立ちの可愛いよりも怜悧な美女といった感じに伺える。

また箇条書きで、家事が得意、基本敬語、優しいなどの言葉も書かれていた


「まぁ、こんな感じかなぁ、腹筋割れてるカッコイイ系の女の人って憧れるよね」

「それめっちゃわーかーるー、それじゃ今から作るよー、どーん!」


 女神が目をつぶり手を組み念じると床に五芒星の魔法陣が浮かび上がり光始める。

その光が収まる頃に、一人の執事服の女性が洞窟の中に召喚されるのだった。


「初めましてこれより真心様の補佐役を務めさせていただきますどうぞよろしく」

「は、はい、よろしくお願いします、えっと……何て呼べばいいかな?」

「補佐役とでもお好きにお呼びください」

「名前が無いのね、それじゃそうね……補佐、アシスタント、シスタなんてどう?」

「真心様がお決めになられるのでしたら、喜んでその名を名乗りましょう」

「それじゃぁ、決まり、よろしくねシスタ!」


 こうして真心の最初の仲間シスタが生まれるのであった。



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