/ ̄\ワンゲル / ̄\ ーー競技登山部活動記
蕈 玄銘(くわたけくろな)
0章 始まり
0話 プロローグ
この物語はフィクションを基本構成に、ノンフィクションが多少織り交ぜて作られております。多少実話を元にしております。
広島県と言う設定なのは作者が広島県出身である事もありますが、広島県は競技登山のレベルも高く、インターハイ入賞の常連です。それに先日広島県のとある学校が、登山のインターハイで長い歴史に無い記録を出したと言うのも理由の一つです。
その為この設定で作らせて頂きました。男子校モチーフでもあるので、下ネタも多めです。
この小説を機に高校競技登山と言うスポーツが少しでも布教されたら良いなと思います。
架空の学校名や人物が出てきますが、実在する人物と団体、地名などは多分関係ありません。
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「試験開始!制限時間は六十分です。終わりのチャイムが鳴ったら速やかにペンを置いて下さい」
試験管の声と同時に俺は何枚か束になった冊子をひっくり返す。
その直後俺は頭が真っ白になった。
終わった。
そうとも感じさせた。
束になった冊子をひっくり返してからのその六十分……その時間は長い様で短く感じられた。
今までの六年間がこの試験で全てが決まる。たった一つの教科でさえミスる事は許されないのだ。
あっという間の試験時間は過ぎて、一旦俺は昼休憩を迎える。
持って来た弁当を口に運ぶも喉を通らない。
落ちたな……。
はっきり言って手応えは一切無かった。
塾の模試での判定もC判定ギリギリとボーダーラインを切りそうなぐらいだった。別にこの学校に入学したかった訳では無い。
だけど、この学校には魅力があったんだ。
そこまで強い意志を持っていた訳では無かった。
でも、受かったら良いな。位の気持ちで受けて結果はボロボロだった。
いや、まだ教科は残っているし、諦める訳では無い。ただけど、もう受かったと言う感じでは無かった。
もう少し勉強しておいたら良かったなぁ。俺は悔やんだ。まぁ、中学校なんて大抵の人は受験せずに地元の中学校に行けるんだし別に良いか。俺はそう考えるしか無かった。
もう既に、他の滑り止めの学校で特待生合格はしているんだし、そちらに行っても悪くは無い。
既に諦めモードの俺は別の人生を考えていた。
だけど、小学三年生の時に書いた未来の自分に向けて書いた手紙の内容がどうしても忘れられなかった。
その手紙には、今俺が受験しているこの学校の名前が書いてあり、そこに行っていますか?と問いかけられていたのだ。何故そう書いたのかは分からない。だが、その時の俺はあまり良く知らない筈のこの学校に何かしらの魅力を感じていたのだろう。
昔の自分を裏切る訳にもいかないと思い、再び俺は奮起し弁当を片付け、次の教科の準備を整える。
そして試験は終了した。
あれから数日が経過し、俺は再び受験した学校に来ていた。この学校の中学入試の合否確認は、後日実際に学校に張り出される。
俺の受験番号は三四七一。
もう、落ちているのは何となく分かっていたので自ら確認に行く事は無く、父親に確認を任せた。
この学校は私立では県内二位の進学校で偏差値は七十もある。
学校の政策に文武両道と自由と個性を発揮させる事を掲げており、校長先生もユニークな方だ。
その為に県内人気は高く、一、二位を争い、試験の合格倍率は三倍近くあって中々受かる物では無い。
父親が合否表を見て顔を俯かせて、こちらに向かって歩いてくる。
はぁ、やっぱりか。
分かってはいたものの実際に体験すると辛い物だ。
まぁ、もう割り切ってるんだから良いか。
だが、父親は車の運転座席では無く俺がいる助手席の方の扉を開けた。
そしてーー
「おめでとう。合格だ」
「え」
思わず、俺は驚いて声を出す。父は落ち着いた声で笑った。
そして、あまりの嬉しさに俺は父親に抱きついた。
何だかんだでまだ俺は子供なのだ。
そして、この学校では合格するとその場で校長先生の所に行く権利が生まれる。俺は家族と合格通知を持って校長先生の場所に行ってお祝いの言葉を貰い、握手をしてもらった。
その手は温かくて大きかった。
他の受験した学校は滑り止めの所以外は軒並み落ちていたが、俺は奇跡的に受かったこの学校に通う事に決めた。
こうして、俺、
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