合流する世界
「そういえば ' 太陽の石 ' ならクロウが持ってるって、ニジュウヨジってカモノハシが言ってたな。未来の話しだけどな。」
「はい。それはだいぶ未来の話しでございます。この時代にも石は存在しているかとは思いますが、手に入れるのは至難の業でしょう。」と大僧正は言った。
そんな話しをしていると、またパラパラと雨が降ってきた。
雨雲のせいで辺りはやや暗くなっていたが、暗くなるほど ' ホウセイの木の花 ' は光を増していった。
それとともに、辺りに充満するその花の甘い香りもいくぶんか増したように思われた。
ラド・シエナが、
「花が...。」とつぶやいた。
シロは時空軸の歪みを感じた。何かが近づいてくると思った。
しかし、彼はその何かを見ることはできなかった。
シロの体はみるみるうちに透明になっていった。あの遺跡の異空間でクロが透明になって消えていったように。
そして、シロはそこから完全に消えてしまった。それと同時に、分離していたこの世界は彼が消えるとともに元の世界と合流した。
シロもまた、クロ・ト・ジュノーと同様に様々な空間軸・時間軸を漂流している最中であったようだ。いつか彼も元の世界へと戻るのであろうけれど......。戻るべき世界がどこであるかは分からないが。
シロが消えたと思ったら、空から何か悲鳴が聞こえてきた。
≪登場人物紹介≫
・シロ ・・・ 本当の名をゲンカイ・ナダという。
・クロ ・・・ 本当の名をクロ・ト・ジュノーという。ジュノー王国の王子。
・アオ ・・・ 本当の名をアポトーシス・オルガという。〈死神〉と呼ばれることがある。
・男 ・・・ 謎の男。名前はラド・シエナ。
・灘よう子 ・・・ 東京で探偵をやっている。
・鴨木紗栄子 ・・・ 灘よう子に仕事を依頼する。
・鴨木邦正 ・・・ 鴨木紗栄子の伯父。植物学者。
・黒戸樹 ・・・ 鴨木紗栄子の夫だった人物。
・蒼井瑠香 ・・・ 医者。
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