最もパクられないストーリーとは

 自分の人生です。いきなり出落ちですが。


 あなたがもし、作家デビューを目指してる無名の新人だとして。誰がどこの馬の骨とも知れない、あなたの人生をパクろうと思いますか? 特に、あなたの幼少期にさかのぼってのリサーチなんか、困難だと思います。


 でもあなたは、取材費用一切ゼロで。この世の誰より、あなた自身の人生を知っているんじゃないでしょうか? この独自の強みを活用しましょう。

 よく、自費出版の宣伝文句で「誰でも生涯に一度は名作を書ける」なんて言いますが。それはあなたの人生をネタにすればの話でしょう。そこはホントです。

 拙作「勇者になりきれ!」でも、就職氷河期世代でさらにADHDな自分の強みを活用しています。


 自分の小説をパクられたという理由で、戦後最悪の放火事件を起こしてしまった人がいましたね。もちろん犠牲者の方々の奪われた人生を想うと、悲痛の極みです。

 でもそれ以前に、今も入院中で生死の境をさまよってるだろう「彼」が、決して誰にもパクられない「自分の物語」の価値に気付いてくれたなら。そもそもこの事件は起こらなかったと思います。


 これを読んでるあなたも、自分の人生の価値に気付いてほしい。


 だから、今の人生を投げ出して異世界に逃避しようなんていう「異世界転生もの」が、私は大っ嫌いです。コンテストから選考対象外になってもいいんじゃないかと。たくさん書かれすぎてるからダメなんじゃなく、今のあなたの価値を否定してるからいけないんです。


 なので「勇者になりきれ!」には「夢渡り」があります。今の人生を維持しながら、非日常の世界で特別な経験を積んで帰ってくる。そして日常を変える。これぞ、ヒーローズ・ジャーニーです。


 他人のふんどしで相撲を取るな。付け焼き刃の借り物では、すぐにボロが出ます。自分なりに消化して、自分のものになってるなら話は別ですが。

 一方で、私たちは先人の築いたものの上に生きてます。巨人の肩の上に乗って、遠くを見渡していますね。


 あなたの人生×先人の知恵。さあ、あなたはどんな物語を紡いでくれますか。

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