第12話 あの人
あの人と今日は電話が出来ません。
明日は忙しいと言っていたのを知っているから。
寂しくて寂しくて、気晴らしに映画を観ていますが、やはり頭に入ってきません。
そう思っていた矢先、あの人は電話をくれました。端々に「好きだから」とか「好きだよ」と言ってくれます。
私は嬉しくてたまりません。
あなたに会う日、私はその夜にあの人に会いに行きます。
知らないのはあなただけ。
でもあなたは乗り気ではないし、私の心はあの人に今支配されています。
確実に、あの人という崖の上に立ち、あの人を見下ろしています。あの人が、どんな人なのか。あの人とする恋はどんなものなのか。
他の崖のことは考えられません。
友人に言いました。
「あの芸人に抱かれてから、なんか惹かれている気がする」と。
友人は教えてくれました。
「セフレならいいと思うけど、芸人はよくないぞ。マッチングアプリも多分消してないと思うし。お前に任せるけど」
友人にそう言われた時、「私が言えばこの人はマッチングアプリを辞めてくれるのではないか」と思いました。
この人は「昔、彼女にタバコをやめてと言われてそれからタバコ吸ってないんだ」と教えてくれました。
禁煙に成功できて、マッチングアプリが消せないなんてことあるのでしょうか。
悶々と考えます。
って友人が言ってたと伝えて、この人はどう思うのでしょうか。日頃から私の遠回しの表現を聞いています。この人は、私という女に飽きるのでしょうか。
私の好きの賞味期限は短いです。
この人を長く好きでいられる自信もありません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます