《魔石》

魔法で洞窟を破壊した俺は捕まっていた3人の元に戻り"透明トランパレ"を解除する。


3人は突然の爆発に驚いて固まってる。俺は自分の"透明トランパレ"も解除する。その際、俺は"変身トランスフォーム"を発動させ人族の男に姿を変える。


見た目は中年の男、声も意識してしゃべり方も変えている。後で会う事があっても今回の事をやったのが俺だとバレない為だ。


固まってる3人に声をかける。


「おい。今から生き残りがいないか調べる。お前達も協力しろ。崩れた岩の下にいないかも確認するんだ。もし、生き残りがいたら俺に教えろ!いいな?」


俺が声をかけてそう言うと3人は少し戸惑っているが頷いて付いてくる。


壊した、洞窟は瓦礫が無数に落ちている。天井も魔法の効果で焼け焦げ今にも崩れ落ちそうな程ボロボロだ。今はまだ何とか支えられている。その内、山の一部が崩れて洞窟を塞いでしまうだろう!


中には沢山のゴブリンの死体。4人で入り口の方から確認していく。


ゴブリン達は、爆発による熱で焼け焦げるか瓦礫に潰され死んでいる。


「おい。生き残りはいないか?」


俺がそう聞くと、


「は、はい。大丈夫です。」「す、すごいな。全部死んでる。」「あの魔法。上級魔法よね、初めて見た。凄い威力。」


1人が答え、後の2人は後ろで話している。


「じゃあ奥に進むぞ。付いてこい!」


声をかけて奥に進む。奥の方も入り口の方と同じ状態だ。するとゴブリンジェネラルの死体も見つかる。こいつも問題なく倒せたようだ。もう少し進むと、ゴブリンキングがいた場所に着く。ここでもジェネラル達は死んでいる。キングの死体もあるはずだ!


「おい。ゴブリンキングの死体も探せ。必ずいたハズだ。」


3人にもキングの死体を探す様に命令する。3人はキングがいたことに驚いているが何も言わず死体を探す。すると、


「あ、あの。見つけました。」


そう言って1人が声をかけてくる。俺も声をかけてきた女性の元に向かう。すると、2メートル以上あるゴブリンが瓦礫の下に埋もれていた。俺は確認のため鑑定をする。


{ゴブリンキング。レベル80。ランクA}


どうやら間違いないようだ。3人はゴブリンキングの大きさに驚いている。無理もない。彼女達はおそらくDランクぐらいの実力しかないだろう。キングの事は知っていても実物を見るのは初めてなんだろう。


俺は死体の確認のため瓦礫をどける。するとキングが目を開き襲いかかってきた。だが動きは遅い。


「まだ生きていたか。お前達は下がっていろ。」


俺は3人を下がらせキングと向き合う。


キングは体から大量の血を流し、肌も焼け爛れている。ほっといても数時間もしたら死ぬだろう。


キングは周りのゴブリン達の死体を確認をすると雄叫びをあげ近くのこん棒を広い襲いかかってきた。


俺は迫ってくるキングの攻撃を躱して、首を切り落とす。


ほとんど死体のキング相手なら簡単だ。


「よし。終わった。行くぞ!」


俺は3人に声をかけて外に出ようとする。すると、


「あ、あの魔石を取らないんですか?」


そう言って声をかけてくる。魔石?魔石があるのか?


『おい。魔石なんてあるのか?聞いてないぞ?』


〈はい。魔石は魔物の中にある核のような物で、ランクD以上の魔物から取ることが出来ます。魔石の大きさはレベルや魔力の大きさ、体のサイズ等で変わります。聞いてないぞと言われましても、聞かれませんでしたので、すみません。〉


そう言って説明してから謝るサポーター。いや、確かに聞いてないけどさ。俺はアルティミアの人間じゃないんだから教えてくれれば良いのに。


『じゃあ、今まで倒したランクD以上の魔物にも魔石があったって事だよな?』


〈はい。マスターが解体の際に捨てていた塊です。〉


うわぁ。確かにあった。何か汚いから捨ててたよ。必要なのは食べれる部分だけだったし。


『回収した魔石はどうするんだ?』


〈普通はギルドで売ります。魔石は魔道具にも使われますので高値で買い取られます。ランクDの魔物の小さな魔石でも金貨1枚で買取りしてます。〉


『魔道具って魔法を流して使われるものじゃないの?』


〈高性能の魔道具は魔石を使っています。魔石は魔力をおびているので魔道具を起動させる為の魔力が必要ありません。〉


なるほどね。まあ、これからは回収した方が良いって事だよな。


とりあえず、黙ってしまった俺を見ている3人に声をかける。


「いや、回収する。お前達も他の奴から回収してきてくれ。」


3人に声をかけてキングの元に戻る。3人は他の魔石の回収を行っている。


魔石は魔物の真ん中ら辺にある。俺はキングの腹を開いて魔石を取り出す。大きさは10センチ程だ。


『この大きさだと価値はどのくらいなんだ?』


〈そのサイズだと金貨100枚程。赤金貨1枚ですね。〉


しばらくすると、3人も回収を終えたようだ。魔石を渡してくる。3人を連れて洞窟を出て森を抜ける。


「お前達は何でゴブリンに捕まってたんだ?」


森を抜けた俺は3人に聞いてみる。


「私達は、ランドの街でラースの街への商人の護衛を受けたんだ。でも、途中でゴブリン達に襲われ、商人は殺されて私達は捕まった。」


ランドに居たのか?俺は知らないけど3人は俺の事を知ってるはずだ。姿を変えといて良かった。


「これからどうするんだ?」


「洞窟で武器も回収出来たし、ラースの街に向かうよ。依頼についても、ギルドに報告しないといけないし。」


3人のうち、強気そうな女性がそう話す。


「ランドの方が近いんじゃないのか?」


「いや、ラースなら依頼も多いし街もでかいからラースに向かうつもりなんだ。」


まあ、ランドで会わないならありがたい。


「じゃあ、お前達にこれをやる。」


俺はそう言ってキング以外の魔石を全部渡す。別に俺がキングの魔石を売る訳じゃないが何かに使えるかも知れないから持っておく。


「いや、それは受け取れない。ゴブリン達を倒したのはあんただ。」


そう言って受け取らない3人。どうやら勘違いしているな!


「いいから受け取れ。これは口止め料だ。今日の事は誰にも言うな。ギルドで聞かれても俺の事を何も分からないって言うんだ。姿が見えなかったって。いいな。」


俺はそう言って魔石を渡す。3人は渋そうな表情をしていたが、やがて魔石を受け取る。


「わかった。魔石を受けとろう。助けてくれてありがとう。」


そう言って礼を言う3人を見てから、俺は飛行魔法でランドがある北東じゃなくに飛んでいく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る