学校に行きたくない病
はみがき
今朝
いつも通り5時に起きる。
いつも通り顔を洗う。
いつも通り時間割を揃えて、
いつも通りメールをチェックする。
いつも通り髪をなおす。
古典派の音楽家を彷彿とさせていた寝癖も、ドライヤーを当てるだけできれいなストレートを取り戻す。
都合がよい。
髪をとかしたら、
いつも通り、
いつもの髪飾りをつける。
鏡を見て、ちょっと嬉しくなる。
髪飾りをした自分を見て、
ちょっとだけ、
嬉しくなる。
今日はちゃんとできるかな。
今日もちゃんとできるかな。
私は今日、ちゃんとできることを知っている。
だって、友達に選んでもらった髪飾りをしているのだから。
ただの友達に選んでもらった髪飾りをしているのだから。
『友達でいたい。』
そう言った君の声はひどく震えていて、ひどく怯えていて、
私はちゃんと、
「大丈夫、ありがとう」
そう、伝える。
髪飾りをするだけで、嬉しくなる自分が浮かぶ。
大丈夫だよ。
今日もいつも通り、ちゃんとできる。
いつも通り、髪飾りをしている。
髪飾りをした自分をみて、
ほんのちょっとだけ、
不安になる。
『これからも仲良くしてほしい。』
ほんのちょっとだけ、
不安になる。
6時だ。
いつも通り家を出る。
「行ってきます」
学校に行きたくない病 はみがき @__hamigaki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます