【番外編】成神マンシール 第一弾

神奈子「椎橋くん。『成神マンシール』って知っているかしら?」


涼「……知らないけど、なんか、言葉の響きで想像はつくな。アレか? ウエハースチョコについてるシールを集めるヤツか?」


神奈子「そう。それの成神バージョンね。有名な成神たちがシールになっているの」


涼「はぁ。委員長がそういうのに興味があるとは意外だが……」


神奈子「断じて違うわッ!」


涼「うるさっ! 何だ急に!」


神奈子「断じてこんな子供っぽいものに興味はないわ! ただ、この成神マンシールに、私のシールがあるらしくて……」


涼「委員長の?」


神奈子「あ、いや。多分私じゃなくて、その。私の自我が目覚める前の、ブラックセーラーのシールだと思うんだけど……」


涼「あぁ、なるほどな……」


神奈子「とにかく、だから。私じゃなくてブラックセーラーとしてのシールとはいえ、シールの裏面の説明欄に変なことが書かれていたらいけないじゃない? 最悪の場合名誉毀損での訴訟も視野に入れるわ」


涼「…………」


神奈子「いま、『器ちっちゃいなぁ』とか考えたでしょう」


涼「いや……単純に、興味無いなぁって」


神奈子「うるさい! とにかく暇ならシールを買うのに付き合って!」


涼「めんどいなぁ。俺パチ屋行きたいんだけど……」



〇成神マンシール No.001

『プロフェッサー・ビンゴ』


〇プロフィール

 白手はくしゅの魔術師の異名を持つマジシャン。手品の腕はもちろん、最近は俳優としての演技も上達中!?


〇神業『ハンド&パワー』

 自分の手の動きと連動した巨大な二つの手を操る。右手の『ハンド』は破壊力に優れ、左手の『パワー』はビームなど技に長ける。



神奈子「これは……ビンゴさんのシールね」


涼「ハンド&パワーは強力だったなぁ」


神奈子「……ていうか、右手が『ハンド』で左手が『パワー』って名前がついているみたいだけど。意味あるのかしら、これ」


涼「……ずっと右手とか左手とか言ってたらカッコ悪いからじゃないか?」


神奈子「でも、本編の地の文ではずっと『右手』『左手』だったじゃない」


涼「まぁ……語り手役の俺が、あの手に名前がついてるのを知らなかったからな」


神奈子「無意味な設定だったんじゃない? これ」


涼「やめろやめろ! 2章以降ではちゃんとその表記になるよ! 多分!」



〇成神マンシール No.002

『萌木緋蜂』


〇プロフィール

 SNSで大人気の炎上系アイドル。その影響力は、高校制服写真の投稿ひとつでトレンドに乗るほど! このシールも映えるかも!?


〇神業『大炎上』

 体のあらゆる箇所、または手に持った刀などから超高火力の炎を発生させる。ちなみに彼女の刀の名はエスエヌエスカリバーだ。



涼「こっちは……萌木緋蜂のシールか」


神奈子「SNS……って、私が死ぬ前からちょっと普及し始めてたけど。ようは、一般人でも世界に向けて情報を発信できる、っていうサービスなのよね」


涼「そうだな」


神奈子「それなのに、なんで大事なニュースよりも女子高生の制服の写真の方が注目度が高いわけ?」


涼「俺に言われてもなぁ。まぁ日本はロリコン大国だし。委員長だって、お堅いニュースよりかは犬猫の写真見てる方が幸せだろう?」


神奈子「たしかにそうだけど、ワンちゃんネコちゃんと女子高生を同列に並べるのには異議を申し立てるわ!」


涼「……委員長、生き返ったばかりだし、見た目も高校生くらいだから勘違いしてるのかもしれないが、アンタ本来は俺と同じ20代半ばくらいだぞ。ワンちゃんネコちゃん呼びはさすがにキツいって」


神奈子「それは今関係ないでしょう!? 殺すわよ!」



〇成神マンシール No.003

『高瀬マヤン』


〇プロフィール

 高瀬達子の一人娘。高校生にして料理本を多数出版する、文句なしの料理女王2世! 本人の好きな料理はパエリアらしいぞ!


〇神業『ビストロ・マヤン』

 家事に必要な炎や水などの魔法を自由自在に扱える。非戦闘向き。母の達子はより強力な魔法を使えるが、応用力はこちらが上!?



神奈子「マヤンちゃんもシールになってるんだ」


涼「料理以外にも、魔法で洗濯や掃除もチョチョイのチョイなんだとよ。委員長は家事できんのか?」


神奈子「椎橋くんの部屋の散らかりようを見て片付けしたくてたまらなくなるくらいには掃除好きよ」


涼「ほーん。……料理と洗濯は?」


神奈子「…………」


涼「仲間だな」


神奈子「勝手に仲間にしないで! 語れるほど得意じゃないってだけなんだから!」



涼「……出なかったな、ブラックセーラーのシール」


神奈子「え、まだまだ買ってきてあるじゃない。開封しましょうよ」


涼「アホか。そんないっぱい開けて、ウエハースどうすんだよ」


神奈子「捨てればいいじゃない」


涼「貴様のような人間が日本をダメにするんだッ!」


神奈子「うるさっ! 何よ急に!」


涼「こういう系のお菓子でそれは死罪に値するんだよ! 謝れ! 地に額をつけて平身低頭誠心誠意謝れ!」


神奈子「えぇ……ご、ごめんなさい……」


涼「やれやれ……ともかく今日はここまでだ。もう夜も遅いし、開けたぶんのウエハース食って歯ぁ磨いて寝るぞ」


神奈子「はいはい。今日出たやつはアルバムにしまっておくわ」


涼(……やっぱり集める気マンマンじゃねーか)


神奈子「断じて! コレクションする気! なんて! ないからね!」


涼「思考を読むな」

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