老婆が語る遺人録
ほーらい
第1話 レオン国王 プロローグ
「おばあちゃん!本読んでよ!!」
夜も良い時間。私の部屋にパジャマ姿の女の子が飛び込んできました。短い金髪につり目がちな大きな目が特徴の可愛らしい私の孫。少し活発すぎるのがたまにキズかしらね。
「おやおや。しょうがないね。じゃあ今日は王様の話でもしようかしら。ほら、後ろに隠れてないでいらっしゃいな」
ドアの後ろにもう1人。同じ髪の毛でこちらは少しタレ目気味の男の子。同じく私の孫です。彼も私の呼びかけにおずおずと部屋に入ります。こっちの子はもう少し自己主張があってもいいのですけどねぇ。
私は2人の期待に応えるまま、パラパラと本をめくります。黒い本に金縁。少し豪華な装飾。厚さはというとこの老婆には少し堪える重量といえば伝わるかしら。
今日はこのお話にしようかしらね。
2人とも目を輝かせながら私の前で体育座り。本当に可愛らしい。
『昔々あるところに、ギアナという国の王様がいました。王様の名前はレオン。とても若い王様です。彼は最近王様になったばかりでしたが、困ったことがありました。国を倒そうと攻撃をしてくる反乱軍。そして、国の政治を行う元老院というおじいさんたちが毎日悪いことを企んでいることでした。王様が毎日悩んでいると、目の前に黒い服を着た死神が立っていました。死神は王様に言いました。あなたの命は残り一月です。その間にやりたいことをやり切りなさい、と。疑い深い王様は死神に聞きました。なぜお前はわたしに死に時を教えるのか、お前は本当に死神なのか、と。死神は少し考えてから答えました。死に時を教えるのはあなたの死ぬまでの生き方を日記にしたいからです。私が死神かを信じるか信じないかはあなた次第です、と』
私がこれから読み上げるのは、死神が残した遺人録。死を宣告された人間たちの生き様を書いた、まごうことなき日記帳。
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