小さな道具屋さん。
つきしろ
第1話 お祭り準備
もうすぐ祭が始まる。準備を始めなくては。
今年準備する物は何だったか。瑠璃鳥の尾羽、牙獣種魔物の牙。あとはいつものように果実とお肉。お酒は作っておいたモノを出せば大丈夫。
でも、心配がひとつだけ。
祭の前の準備にいつも雇っていた傭兵さんがついこの間、首都に呼ばれたと言ってこの村を出て行ってしまったこと。
魔物の素材は傭兵さんに頼まないと手に入れることはできないから。今年は新しい傭兵さんに頼むしかない。
人見知りというわけではないけれど、慣れていない傭兵さんだともう一度説明をしなくてはいけないから。
それに、何故だか今年は嫌な予感がする。
「お姉さん、薬草ちょうだい」
お店の前に居る男性が棚の薬草を指差す。
「はい、こちらですね」
薬草を一瓶手渡し、料金をもらう。
男性は見たことがないから、おそらくこの村の人ではない。黒のフードを目深にかぶり、顔はよく見えない。腰に剣を下げているから狩人さんか、傭兵さんか。
男性は薬草を受け取っても動く様子を見せず私を見ていた。顔に何かついているかと聞けばフードの中で笑われる。
「ごめんね、頑張って」
謝られる理由も、頑張る理由も分からなくて聞き返そうと思ったところで男性の後ろにいた、男性と同じような黒いローブを着ている人に呼ばれて走り去っていった。
一体なんだったのだろう。
私もそれどころではないかな。
傭兵さんを探さないといけないから、今日は早めにお店を切り上げて酒場に向かおう。新しい傭兵さんも、優秀な人だと良いな。
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