第2話 新しい冒険の始まり

〜ララノア王国のお城〜


ハヤトside


お城の廊下をコツコツ……と歩く。

兵士たちの前を通れば必ず道をあけてくれるし、礼もしてくれる。


これが勇者というもの。

悪い気はしない。悪い気はしないが……


(いやそんなに足音響くような廊下じゃないし……!!)


そう、お城の廊下には真っ赤な絨毯がひいてある。とても足音が鳴るとは思えない。


王様の座っている豪華な椅子の前に行くと、勇者ハヤトや、召喚士のユメ、魔法使いのリン、剣士のトウヤが膝をつく。


この4人は昔からの友達で、パーティーを組んでいる。


「勇者たちよ、このララノア王国に危険をもたらす魔王を討伐してきてくれ!」


(あれ、本格RPGなのに設定とか最初に言ってくれないんだ……)


「分かりました!」


ゲームのプログラム上、口が勝手に動く。

それ以外の会話は、このゲームをプレイしている子には伝わらない。


(まぁいっか……)


「この資金で、旅に必要なものを揃えておくといい。」


[王様から30000G貰った!]


「ありがとうございます!」


(なんかさ、もうちょっと説明してくんないかな……)



「ねぇ王様もうちょっとさ、説明してくれても良くない?」


武器などを買い揃えるために、武器屋に向かっている途中、ユメが言う。

この会話は、プログラム上にない会話なので、プレイしてる子には聞こえてない。


「ほんとそれ。あと30000Gとか足りなくない?ケチんなよクソジジイ」


すかさずトウヤが同意する。それはさすがに言いすぎなんじゃ……と思ったが、否定は出来なかった。


「いやそうだけど……」


「まぁ、薬草と回復薬いっぱい買っときゃいっか」


(まぁ、あんだけ壮大な感じ出しといてあの説明はないな……)

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