第11話お風呂上がりのメドとEND




 ※ちょっとだけ性的表現があります。

  苦手な方はどうかご遠慮ください。




「フーナさま、さっきから誰と話してるの?」



 たった今、女神のメルウちゃんと、話題に上がっていたメドが、お風呂上がりの姿でやって来たっ!



『この絵の黒いドラゴン、エンシェントドラゴンとはいったいどういう関係なのっ?』


 そんなメドを見ながら、ちょっと不安になった。

 でもこれは聞かなければならない事だ。


「あ、あのねメド、ちょっと聞きたい事があるんだけど……」


 エントランスホールに来たメドに、恐る恐る声を掛ける。



 なんだけど、


『ゴクリッ』


 そんなメドを見て、私は自然と喉を鳴らしてしまう。


 だってそれはそうだろう。

 今のメドはヤバい。


 何がヤバいっかって?


 お風呂上がりのメドは、その白く長いきれいな髪をしっとり濡らして、頬も上気しやや赤みがさしている。


 尚且つ、薄手の白いノースリーブがそのきれいな細い手足が見え、それとメドの華奢でストレートな体のラインもバッチリ見える。


 し、しかも――――



『ぶふぅっ! ちょ、直視できないっ!! は、鼻から血がぁっ――』


 萌え袖で鼻と口を塞ぎ、なんとか血液の逆流を防ぐ。

 それでもチラチラと覗き魔のように袖の隙間からチラ見してしまう。



『ア、アンダーシャツか、スポブラみたいなの着てないのっ!』


 メドは薄手のシャツの割に、そのささやかな山とその頂上が、うっすらと浮かんでいる事を気にしている様子が全くない。


 ろりえろっぽいっ!



『は、早く、お持ち帰りしたいっ! 早く今夜の抱き枕にっ!』


 「フンっフンっ」と今度は思わず鼻を鳴らしてしまう。



「で、フーナさま。話ってなに?」


 メドは私にと視姦されているとも知らずに、コテンと首を傾げながら、不思議そうに声を掛けてくる。


「あ、あのね、あの階段の上に飾ってある、大きな絵はどうしたのっ?」


 気を取り直して確認の為聞いてみる。

 視線はメドの頂上を、ガン見したままだけど。



「あれはこの大陸のドラゴン。本物のエンシェントドラゴン」

「ええっ! やっぱりそうだったのっ! どんな関係なのっ!!」

「この大きな家貰った」

「はぁっ!? なんで?」


 この屋敷って元はエンシェントドラゴンの持ち物?


「アイツ、昔からワタシに付きまとう。ツガイになりたいみたい」

「えっ!?」


 ツガイって―――― 夫婦って事だよねっ!?


「そして、あ、名前は『エンド』がこの家勝手にくれた。だから貰っただけ」

「…………」


 『END』って、なんかヤバい名前じゃない?



「アイツ嫌い。この前もワタシに無理矢理入ってきた」

「メ、メドに、む、無理矢理入ってきたっ?」



 も、もしかして、それって―――― もう、


『あわわっ!』


 もうメドは無理矢理に大人の階段をダッシュしたって言うのっ?

 私のメドがぁ!

 ENDが私より先にっ!?



「ん? 間違った。ワタシの家に無理矢理入ってきた」

「………………はぁ」


(ねえ、ねえ、フーナお姉さん)



 紛らわしいし、ものすごく焦った。

 メドの貞操が私の知らないところで喪失していると。



「そ、それで、なんでメドの家に無理矢理押し入るの? も、目的は、やっぱりメドの純潔っなの!?」


(ねえってば、フーナお姉さんっ!)



「純潔? よくわからないけど多分そう。この前も無理矢理に――」

「無理矢理に!?」 ゴ、ゴクリッ


(ねえっ! フーナお姉さん! エンドの居場所聞いてなのっ?)


「無理やりに、勝負仕掛けてきた。ツガイになれと」

「……………………」


 また、このパターンなんだ。


「それでワタシは、その勝負――――」


『ねえっ、ねえってばっ! フーナお姉さんっ!』


 カチンッ


「――――んもうっ! さっきからメルウちゃんうるさいっ! 今はそれどこじゃないでしょっ!」



 そう怒鳴ってしまう。

 構ってちゃんのメルウちゃんが、幾度も脳内に話し掛けてくるから。


 今はメドと大事な話をしてるのだ。

 メドが幼女か幼性女かが決まる、そんな大事な話の最中なのだ。


 だからたまには空気読もうよっ!



『もうっ酷いよっ! フーナお姉さん! わたち帰るっ!』


「ん、それどこじゃない? …………わかった。ワタシもう寝る」


「え、ちょっと待って、二人とも?――――」

 

 急に立ち去るメドを引き留めようと、手を伸ばすが遅かった。



「あれ?……………」


 し~~~~ん


 そして二人ともいなくなった。

 このだだっ広いホールには、私が独りポツンと残された。


 メドを引き留めようと差し出した私の手は、無駄に長い袖がプラプラと揺れているだけだった。



「う~っ!」


 なんで、こんな事に?



「メルウちゃんには、後で謝まるとして、それよりも…………」


 急いでメドが消えていった扉の先に向かった。


 話の途中だったし、なんか知らないけど怒っているみたいだったし、

 それとお腹も減ったから。



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