第75話 決心
それから放課後となり、生徒会へと向かう時間になる。
俺は色々な思いがあり、行きたくない気持ちでいた。
会長がどんな反応をして言葉をかけてくるかもわからない。秋山や神崎なんかとも、一緒にあの空間にいて話すようなこともしたくない。
そんなことを考えて席に座っている内に、秋山は俺とは目も合わせようともせず教室の外へ出て行ってしまった。
まぁ…行かないといけないか…。
そう思い、俺は重い足取りで立ち上がり教室を出て生徒会室へと向かおうとした。
…そうは思っていても、足がどうにもすんなりと前に進むことができなかった。道の途中、無駄に廊下や窓の外の様子なんかを見ていて時間がかかってしまった。
数分が経ってしまってから生徒会室の前まで到着した。
俺がいない状態だがどうなっているのだろうか…。
そんなことを思いつつ、ドアの方に近づいていった。
生徒会室前にはしっかりと投票箱が設置してあるのが目に入った。
ここの周辺を歩く生徒も何人かいるが、その投票箱には目もくれずと言った感じだ。
俺は辺りを気にしつつ、投票箱の票を入れる部分の隙間から中をそっと覗いてみた。
その中には、票数的には今朝の霧島の力によって入れられた分の票数くらいしか入っていなかった。
…ん?神崎の言っていた票はまだ入っていないようだが…。
用紙は常に投票箱の近くにある。
今、ここで俺が佐野の名前を何枚か書いて票を入れてやろうかとも考えた。
ただ、こんな場所でそんなことをしていたらバレる場合もある…。佐野が票数を常に監視しているなんて可能性も高い。
それに…正々堂々でやらなければ意味もない気がする…。いや、俺がさっきしていたことからしてそんなこと言える立場でもないのかもしれないが…。
ともあれ、まだ期間はあるんだ。いざとなればやり方はいくらでもある。
…それより、今は生徒会室へ入って話すことを話す方が先だな…。
仕方ない…。俺は意を決して生徒会室のドアに手をかけた。
そして、少しドアを開いたが静寂としていて人がいない様子だった。
誰もいないのか…?
そう思いドアを開けて中を見た時、そこには一人の人物だけが席についていた。
そう、そこにいたのは東條ただ一人だった。
他のメンバーの姿は見えず、東條一人が自分の席に着いていてこちらを見ていた。
一体何があったのだろうか…。
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