いつ解放してくれますか?

7ふぐ神

第1話

「ふわー」欠伸をしながら今日はどうしようかと考える。

 何気無く部屋を見回した。

 なんの飾り気もないチェストと机と椅子、ベッドがあるだけの殺風景な部屋だ。

 何か部屋に飾るものを買うのもいいかもしれない。

 そんなことを考えながら扉に手をかけた。


 大通りにでると街並みはガヤガヤと騒がしかった。

 出店が立ち並び賑わいをみせている。

 その中でも一層賑わっている店があった。その前を通り過ぎようとしたとき腕を掴まれた。


「やっと見つけた」

 黒髪、黒眼の端正な顔の青年が嬉しそうに立っていた。

「はぁ~~~~~~~」

 俺は大きくため息をついて青年を睨み付けた。

 青年はそんな俺の様子に構わず手に力を込め引き摺っていこうとする。


「ちょっ いたいって」俺は必死に抵抗した。


 しかし、ズルズルと抵抗空しく引きずられ少し先にある屋敷に連れ込まれた。

 部屋に入ると絵の具の匂いが鼻につく。壁に所狭しと何枚もキャンパスが重ねられている。

 青年は部屋の中程に新しいキャンパスを置いてその前に椅子を置き、俺を見ていた。

「はぁっ」と大きくため息をつくと俺は服を脱いでソファに横たわった。

 こうして絵のモデルになるのは何度目になるのだろうか。俺は青年から目をそらしそっと溜め息をついた。




 





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