アイトチトヒト〈人工知能に家族がいるっておかしいですか?〉

遠野よあけ

第1話エピグラフ

 言語は原理的に部分=対象についてしか語ることができない。肉体が言語に先行することを知ることで、言語で語り尽くせないことがあるという意識が生まれる。そして肉体に先行して世界があることを知ることで、〈私〉が実感することだけでは〈私〉の思考はじゅうぶんに存在=世界にまで届いていないという意識が生まれる。部分を集積すれば全体になるというようなじゅうぶんに科学的ではない「科学的」思考法や唯我論的な思考のあり方は、ひどく痩せた言語の使用による結果でしかない。


保坂和志『世界を肯定する哲学』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る