第13話 別れ

「どうして残るっていうの? エマ、ジョニー。」

 クリスティーナは、シスター・デミと一緒に魔界に引っ越しをするので、孤児院の子供たちに一緒に魔界に行くように言った。しかし、エマとジョニーはクリスティーナたちと一緒に魔界に行かないと言う。

「俺たちまで一緒に行ったら、ブラピが一人ボッチになっちゃう。」

「私たちがブラピの面倒を見てあげる。」

 エマとジョニーはブラピを心配して残るのだった。

「ありがとう。エマ、ジョニー。私の分までブラピをよろしくね。」

「おお!」

「はい!」

 クリスティーナは、ギュッと二人を抱きしめる。

「じゃあ、行くわね。エマ、ジョニー、さようなら。」

「バイバイ! クリス! たまには遊びに来てね!」

「みんな! また遊ぼうね! お土産待ってるよ!」

 エマとジョニーは、これがクリスティーナたちと永遠の別れになるとは知らなかった。純粋にお別れを言っている。

「ちょっと待て!? 何をしている!?」

「ブラピ!」

 その時、ブラピが現れた。しかしブラピは事態を把握していなかった。

「クリス! どこに行く気だ!? シスターも!? それに子供たちも!?」

「ブラピ、クリスたちは魔界って所に遊びに行くんだって。」

「魔界!? 魔物や悪魔がウヨウヨいる、あの魔界か!?」

 クリスたちが魔界に行くと聞いて、もっと事態が理解できなかった。

「クリス! 戻ってこい! 俺の側から離れるな!」

「ブラピ・・・・・・。」

 大好きなブラピに呼び読められて乙女心が揺れる。

「邪魔はさせん!」

 そこに人型の悪魔サタンが現れる。

「ウゲ!? ゲホゲホ!?」

 サタンの不意打ちにブラピは大ダメージを受けてしまう。

「魔王の姫を魔界に連れ戻すことは魔界の悲願。おまえ如き人間に邪魔はさせんぞ! 死ねえー!」

 サタンがブラピにとどめを刺そうとする。

「やめて! ブラピに手を出さないで!」

「姫様!?」

 クリスティーナの抗った声にサタンの動きが静止する。

「ブラピも孤児院の子供たちだけは、私にとって大切な人間なの! 手を出すなら、私は魔界にはいきません!」

「セーラ姫!? ・・・・・・失礼致しました。命拾いしたな人間。」

「クッ!?」 

 サタンは攻撃姿勢をやめて待機する。

「ブラピ、私と結婚したいなら、ハリウッド1の剣士になって、魔界に私を迎えに来て。さようなら。」

 そう言うとクリスティーナたちは悲しみの涙を流しながら魔界へと消えていった。

「クリスー! クリスティーナー!」

 ブラピの叫び声だけが虚しい空に響き渡った。

 つづく。

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