第11話 出生の秘密

「私が姫!? 私が魔王の娘!? 私の本当の名前はセーラ!?」

 クリスティーナは悪魔サタンの話を聞いて衝撃を受ける。

「そうです。あなたの魔族としての血は封印されていましたが、余程、人間界で嫌なことがあったのでしょう。セーラ様自らが魔族の血を選ばれたのです。」

 悪魔サタンは流暢な人間の言葉を話す。

「魔族? 封印? いったい何のことやら?」

 人間として暮らしてきたクリスティーナには、全く理解できなかった。

「私の口から言っても信憑性がないので、セーラ様が信頼できる者の口からお聞かせしましょう。そこに隠れているのは分かっている。出てこい。」

「シスター!?」

 エリザベス城に孤児院のシスターのデミが現れる。

「どうして!? あなたが!?」

「クリスティーナ、おまえのことが心配で様子を見に来たんだよ。まあ、遅かったね。もうお城は血の海さ。」

「デミは、セーラ様の伯母です。先の魔王様が不憫に思われたので、セーラ様の身の回りの世話をさせるために仕えていた魔女です。」

「魔女!? 嘘!? シスターが魔女!? 信じられない!?」

 クリスティーナは、デミのことを孤児院の優しいシスターだと思って接してきた。いきなり魔女と言われても受け止めようがない。

「セーラお嬢様、大きくなられましたね。私は嬉しく存じます。」

「ちょっと!? やめてよ!? シスター!? 私に敬語だなんて!?」

「デミ、セーラ様に真実を述べよ。」

「セーラ様は先の魔王様と人間との間に生まれた魔族と人間のハーフなのです。」

「私が魔族と人間のハーフ!?」

 クリスティーナは、魔族と人間の混血児だった。

「どういうことよ!? じゃあ、私のお父さんの名前は何て言うの!?」

「魔王ネロ様です。」

「ええー!? お父さんは大魔王!?」

 大魔王ネロとは、かつて世界を恐怖のどん底に落とした大魔王であった。

「じゃあ、私のお母さんの名前は何て言うのよ!?」

「・・・・・・勇者カトリーヌです。」

「ええー!? お母さんは伝説の勇者!?」

 伝説の勇者カトリーヌとは、大魔王ネロから世界を救った伝説の勇者である。

「いや、その設定は無理があり過ぎでしょう!? 勇者と魔王が戦っている間に愛が生まれて、気が付いたら子供ができたから、勇者が魔王を倒したことにして戦いを辞めたなんて。」

「その通りです。さすがセーラ様。」

「マジなの!?」

 クリスティーナの数奇な運命が動き出す。

 つづく。

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