『秋の夕うつ』

『秋の夕うつ』

　この、ぴん、とくる空気

　あまりに、おもいつめて、疲れてしまった、おそらさん

　行きたいところに、なかなか行かせてもらえない、わんこを連れて散歩する人たち

　なんだか、年取ってきたじぶん

　身体中、痛いから

　コマーシャルの格好の標的です

『勝った、勝った、よくやりました！』

　と叫ぶ、テレビのキャスターさんたちも、どこか、うつろだな

　【いや、世の中、悪いことばかりじゃないさ】

　でも、こりゃあ、大丈夫ですか？

　今年が終わりでも、来年だって、嵐さんはまた、きっと来る

　これほど、自然さんに、はでにやられてるけど、けんかは止めない、がんこな、人類たち

　【困難は、チャンスだと、認識できるのは、人類の知能ですよ

　だから、発展したんだから

　このたびも、きっと、人類は負けないさ】

　でも、秋は、夕うつだよ

　【またく、しょうのないやつだ

　あし、ひっぱるだけだな

　見なさい！

　星は、あんなに、かがやくだろう？】

　でも、永遠じゃないさ

　【いや、永遠じゃないから、尊いんだ！】

　ほう、はたして、それで、なっとくがゆくのかい

　まあ、単純だね

　ロマンで、たべものは、育たない

　それじゃ、青春テレビ・ドラマだね

　指導者は

　あまりに賢すぎる民衆は望まないものです

　【いや、ちがう、民衆が、賢いから、指導者

は活かされるんだ

　夢があるから、負けないんだ】

　そうは、言うけど

　やはり、秋の夕うつは、深いのです

　みにくく、深淵だよ

　この世の自然は、みな法則で動くけど

　しかし、なぐさめは、ないのですよ

　だから、すさまじいのです

　妥協は、ないのです

　そう、秋の夕うつに、

　なぐさめは、ないのです

　だから、秋なのです

　まだ、もっと、深くなるのですから

　やがて、あたりみんなが

　赤く染まるのです

　崩壊の音は、そこで聞こえる

　みな、終末を恐れ、敬うではないですか！

『あなたほど、夢を見る人はいない

　現実は夢であり、夢は、現実なのです

　また、なにかが起こるが

　あまり、たじろいではならない』

　それは、誰の声ですか？

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