スズムシ

勝利だギューちゃん

第1話

「リーン、リーン」


スズムシの鳴き声がする。

もう、秋か・・・


少し前まで、セミが鳴いていたのに、早いものだ。


鳴くことによって、求婚しているのだが、声かけてくるのは、メスのほうからだ・・・

ナンパではなく、逆ナンパのような気もするが・・・


まあ、詳し事はスズムシにしかわからないということで・・・

まあ、コオロギやクツワムシ、夏のセミもそうだが・・・


「さてと、庭に出てみるか」

玄関を開けた。


寒い


部屋に戻って厚着をする。

これで、OK.


さあ、スズムシさん、どこにいますか・・・


あっ、いました。

鳴いてます。


「リーン、リーン」


御苦労さまです。


でも、あまりかっこいいスズムシではないな・・・


「悪かったな」

いきなり、文句を言われる。


「お前、人間の言葉がわかるのか?」

「逆だ。お前が俺たちの声がわかるんだ」


そういや、セミとも話したような・・・


「スズムシは、見かけじゃない。鳴き声なんだ」

「声って、羽をこすりあわせているだけだろう」

「男だろう?細かい事は気にするな。もてないぞ」

「余計なお世話だ」


しかし・・・


「他の虫はいないな」

「いるだろう?クツワムシもコオロギも・・・」

「鳴き声では、区別がつかん」

「無知だな。お前」

「黙れ」


スズムシと、喧嘩をして、俺も暇だな・・・


「でも、いいのか?スズムシさんよ」

「何がだ?」

「お前たちも、メスに食われる運命なんだろ?」

「構わんよ」

「何故だ?」


スズムシは即答する。


「俺たちは、子孫を残すのが目的だ。それさえ果たせれば、構わない。それに・・・」

「それに?」

「その場は、助かっても、冬になる前に、死ぬからな」

「よく言われるな」

「だろう?」


幸せそうな笑みを浮かべる。


「お前は、見るからに草食系男子だな」

「なぜ、スズムシがそれを知ってる」

「情報化社会だからな」


虫の世界も、変わっているのか?


「でも、お前は人間だ。肉食女子に食べられないようにな」

虫に言われたら、おしまいだ。


まあ、よく言われるが・・・


「じゃあ、俺は向こうの方で、鳴いてくるわ」

「ああ」

「元気でな。早く彼女みつけろ」

「だから、虫に言われたくない」


さてと、部屋に戻りますか・・・


来年には、あいつの子供が鳴いているのかな・・・

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スズムシ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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