魔法少女は間違ってる!
カグラ
天使の軍勢(仮) 襲来編
第1話 プロローグ
そこは何もない暗く黒い部屋。そこに、何とも形容し難い生き物が現れた。
「ふむ............。我々の力を貯めるにはどうすれば良かろうか?」
形容し難い生き物が虚空に聞くと、傍にこれまた形容し難い生き物が現れ、答えた。
「ぐふふふ。人の
気持ち悪い笑い声で、耳障りな声を発する。後、発音がおかしい。
「ふっ。そうか、ならば襲おうぞ、人間を。かつての私の力を取り戻す為に! いざ、地球へ!」
◇◆◇
俺は中学2年の
そんな俺は気分転換に駅前のデパートに来ていた。このデパートは最近できたもので、ここら辺の人の殆どが使っている。
「うっわ~。デッケー。しかも人が多いし」
やっぱりと言うべきか、そこは人で溢れかえっていた。色とりどりの風船が幾つも浮かべられ、犬のような着ぐるみがそれらの風船の紐を持っていた。さらには、広場にはキッチンカーが複数台あった。離れていてもいい匂いが漂ってくる。壁は白で清潔感があり、床はベージュで温かみのある色だ。灯りも眩しくないくらいの光量で、来場者に優しい作りになっている。
俺が何故こんな場所に来ているかと言うと、買いたいものがあったからだ。決して妹にダラダラし過ぎて怒られた訳じゃないから、あしからず。
「おお~。中も豪華だな~」
中も人で溢れかえっていたが、デパート自体が大きくて、そこまで混んでいるように見えない。俺は店内を見て回ることにした。
このデパートの一階は主に食品関係だ。有名な食品店や、ご当地食品店等が存在している。スーパーなんかもある。二階は服飾関係。洋服だけでなく、和服やアクセサリーもある。ユ○クロやG○なんかもあるようだ。三階は電化製品関係。ゲームのハード等も此処で売っているみたいだ。他にも、生活に必要な家電製品。パソコン、スマートフォンも売っている。a○やソフト○ンク等などのスマホ関係の会社も出ている。四階は様々で、子供が遊べるアミューズメント施設や雑貨屋。映画館等もあるらしい。
因みにこのデパート五階まであるが、五階は屋上で庭園になっている。
「さーて、どっから回ろっかなー?」
俺は宛もなく歩き続けた。目的があるんじゃなかったのか、という突っ込みはなしだ。いろんなものを見ながら、デパートの雰囲気に酔いしれる。そうして、数時間たった頃。デパートのキッチンカーが複数台止まっていた広場にソイツは現れた。
―――赤い鬼だ。
筋肉が盛り上がり、正しく筋骨隆々という言葉が似合う程だ。額からは一本の白く短い角があり、目は白目で、口からは長い牙が2本生えていた。じゃらじゃらと何かしらの伝統的な牙の装飾品と腰布を着けていて、重々しい鉄の棍棒を肩に担いでいた。赤い鬼の周囲にいた人達は、突如として出現した鬼に驚き数瞬固まったが、赤い鬼が放つ異様な存在感に圧倒され、その場から逃げようと走り出した。
「グガアアァァァァアアア!!!!」
赤い鬼は咆哮を上げ周りの人間を萎縮させた。その結果から腰を抜かす人が出る始末。遠くにいた人でさえも止まらざる負えなかった。しかし、何処にでも馬鹿と言うものはいるもので。髪を金髪にして、肌が浅黒い二人のチャラそうなカップルが現れた。
「うっわ~!ナニコレ!マジスッゲーんだけどっ!!」
「やだ~。チョー本物みたいナンですけど~」
本物ナンですけど~。いや、実際は知らないけど。でも、あれはどう見ても本物の鬼にしか見えない。あんな異様な……殺意のようなものを放つ存在が、偽物なわけがない。
と、俺が三階の廊下から見ていると彼等は鬼に向かって歩き出し、あまつさえ鬼の肌に触れた。
「ウッワっ!マジスゲ!これマジスゲ!モノホンじゃん!」
チャラそうな見た目の男が鬼の盛り上がった筋肉を、ベタベタと触りながら彼女に言う。なんならどれほどの硬さなのかを知る為か殴りだす始末。
「グウウゥゥゥウウ・・・・」
鬼は唸る。女の方はそれに気づき、少し怯えた。
「ね、ねぇ。
女は離れようと男に言った。うん。女の方が賢いな。だが、その言葉は男には届いていなかった。
「はぁ?ナンで?」
「いや・・・・・・だって・・・・・・」
「おいおいおい。これがマジの鬼だって?んなわけ・・・・・・・・ぅぇ」
男が喋っている途中で、男の顔が飛んだ。食品売り場の近くでグシャ、っと音が聞こえる。その場に残ったのは血に濡れた女と男の胴体。棍棒を振り切った姿勢のまま動かない鬼だけだった。辺りはシンッと静寂に包まれ、誰も動かない。
ドサッと男の胴体が前に倒れた。まるで女に抱き着くように。
すると、今まで誰一人として動かなかった静かな空間が破られた。
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