カニエイを詳しく
バイクとギターをこよなく愛するカニエイとは小学校一年からの友人だ。カニエイと一体どのように知り合ったかを述べてみたい。
小一の時の僕は恵比寿町という所に住んでいた。カニエイは同じ町内ではないが僕の家から近いらしく家庭訪問の時、先生と一緒に地図でカニエイ家を探した。すぐ見つかり、それがカニエイとの結び付きになり、今後のドラマが始まったのだ。
カニエイと僕は小一から人をバカにしたり、クラスメイトをいじめたり、ホームレスを追いかけたりでのスタートだった。だもんで異常なコンビなのかもしれない。だが小三からクラスが変わりあまり遊ばなくなった。小三と言えば僕も登校拒否をして学校にも行かなかったりでカニエイとは少し位しか遊んでいなかった。高学年になっても珠に遊ぶ位だった。
その後、中学二年頃から頻繁に遊ぶようになる。彼は中学時代一応野球部に入った。だが補欠だ。よくサボっては僕の家に来た。その頃僕はインベーダーゲームに夢中でゲームセンターによく行っていた。カニエイも来るけど、ゲームは嫌いなので嫌々付き合っていた感じ。なぜインベーダーゲームが嫌いか言うと金が掛かるからだ。カニエイはなぜか何時も金がない。一度なぜ無いか聞いたら毎月のお小遣いを不定期に貰ったり、貯金していたから何時もない。そのため僕がゲーム代をたまに奢る。だけどカニエイはインベーダーゲームをその奢りでしかやってない。下手なのですぐ終わってしまう。損したとよく思っていた。
中三の時には学校帰りに毎日、僕の家によるのだ。それは菓子パンをもらうため。カニエイは僕らの家の生活事情に詳しく、毎朝の食事が菓子パンを知っている。その菓子パンが余っている時もあり、それを狙って僕の家に毎日よる。正直迷惑だった。毎日来るので玄関の鍵を閉めたこともあった。しまいにはもう一人、カニエイと同クラスの友人を連れて来て、家に入れろと奇襲攻撃されたこともある。
そんなカニエイは小遣いを貰うとパンの専門店に行き、パンを大量に買って一人で思いっきり食べるのが一番の幸せらしい。自転車に乗りながら食べているのをバッタリ会った時見てしまった。カニエイは照れながら笑ってごまかしていた。そしてメロンパンを一つじゃなく半分僕にくれた。カニエイらしいと思った。
だが彼は堅実だ。貯金でレコードアルバムを買っていた。ギタリスト高中正義の大ファンでそのレコード代にしていたのだ。僕はブラスバンド部に入ってた為、ブラバンのレコードを買って持っているとカニエイはバカにした。彼からすればそんなつまらないレコード買うなと思ったのだろう。
高校も同じ。その頃には毎日のように遊んでいた。趣味も同じになりかなり気が合う二人になっていた。一人で本屋や街に行った時、他の同級生に会うと『あれっ、今日カニエイは?』と言われ、カニエイも一人でブラブラして同級生に会うと『今日はまじは?』と言われる。それだけ同級生達には僕らのコンビが浸透していて、二人でいるのが当たり前だった。
僕が高校を辞める時、カニエイは反対しなかった。厳しい高校だったため、カニエイも事情を知り尽くし反対はしなかった。僕の担任の先生はカニエイの所に『なぜ浜崎は学校に来なくなったか?』と聞かれたが知らないと言ったらしい。本当は知っていた。
その後、僕が東京に行ってもカニエイとは手紙で文通したり東京に遊びに来てくれたりでいろんなエピソードが出来た。カニエイと僕はお互いの秘密の部分まで知っていた為に結束も堅い。と言うことは裏切られるとショックも大きい。たまにカニエイは約束を破る時がある。そんな時はさすがに僕も怒る。僕は約束を破ることはしないと思うが。
カニエイの性格や行動などを箇条書きにすればこんな感じになる。
・時間にルーズ。
・よく寝坊をする。
・レコードやCDの指紋を気にする。
・自分で買った大事な本を、僕が雑に見ていると正される。
・部屋は汚い。
・興味があるのは大事にする。だがなくなると大事にしない。
・尻が大きい女は嫌い。
・今、もっともバイクいじりが好き。
・ギターも好きだが最近は興味が落ちている。
・彼女がいない。
・熱しやすく冷めやすい。
・家族と仲がよい。
・倹約するが凄く高価な物を買う時がある。
・ギャンブルはやらないし大酒飲みでもない。
・家族旅行に行く。
・ミュージシャンになろうとして高校を無職で卒業した。
・小細工なことを好む。
・猫背である。
・日本史が好きなため、大河ドラマを観る。
・人の耳を口にくわえる。
・朝、自家発電をする。
こんな感じか。僕のこともカニエイに書かせれば、やはりこんなにあるだろう。
今、バイク直しが最も好きと言うのは、以前購入し乗っていた二五〇ccは乗り飽き、庭にシートを掛け何年も置きっ放しだった。そんな状態だから乗りたい時はエンジンが掛からない。多分、いろんな箇所が痛んでいる。彼はそのバイクを自分で直すと言い、休日に一年位掛けて直した。部品を取り寄せ自分でオーバーホールしたりと豆にやっていた。それで遊んでくれない日が結構あった。お金もかなり掛かったようだ。
自分ですべてを直したことにカニエイは味を占めた。このことは部品をバラすなど凄く手間が掛かり、金も掛かるので僕としては大した男と感心をした。仕事ではなく趣味でやったから凄い。
自分のバイクが完成し新車同ようになったら、次なるバイクを手掛け修理にハマり出した。解体屋から壊れて走れないスクーターを買って、また直し始めた。
その後スクーターが終わったと思ったら、次なるスクーターを神戸の解体屋まで軽トラで走り、二台買いに行った。僕はここまでバイク修理へ凝っていたとに驚愕した。まさに仕事でやれば良いのになと言ったことがある。が、趣味だから良いのだと、彼は言っていた。仕事だと嫌気がでるのか?
今現在、二台のスクーターを手掛けているが、終わればまだバイク修理をやるのか謎である。
あと家族旅行に行ったことだが、片親同士行ったので家族旅行じゃないかも。
あまり青年期の男が親と旅行へ行かないと思うが、カニエイは行った。
まず父親と沖縄に三泊四日を飛行機で行った。別に何かの懸賞に当たったわけでもなく、割り勘で父親と行った。友人と行けばと思うが。そして僕に泡盛酒を買って来てくれた。それをその場のカニエイ家で沖縄話しを聞きながら飲んでしまった。
そして母親とは最近行って来たという。数年前、中島みゆきが紅白歌合戦で富山県の黒部ダムから『地上の星』を歌ったことに、彼と母親は感動して二人、カニエイ車で旅行に行った。母親と行くなんて僕には何とも嫌なことである。だが彼は母親と仲が良いのか、親孝行な青年なのか一緒に行った。凄い。
しかし、帰りにカニエイの車が長野県で故障をして動かなくなり、電車で帰って来たらしい。そして後日、車修理費を長野のモータースに見積もったら高額なため、車を修理しないまま家まで回送してもらったのだ。
高く付いた旅行だったが、黒部ダムの感動は二人の胸の中に高く納まったと言っていた。
僕からだと、カニエイはとても家族と仲が良い青年だ。こんな感じでは、結婚した場合は良い家族を築くだろう。
朝の自家発電は僕もよくするから何のことではない。ただ、ある日カニエイ家に泊まった朝六時頃、隣の部屋からカサカサ音がする。間仕切り戸が微妙に開いていて、そこから覗いたら彼は自家発電をしている。僕が泊まったから早朝からやっているのかと思いつつ戸を一気に開いた。カニエイは瞬時に自分のサオを隠した。透かさず僕が『なに自家発電してるだね』と言ったら、驚き顔と苦笑いでごまかした。そして逆襲もしてきた。『義父に見られた時もこんな感じかね』と。カニエイの自家発電を目撃したように、以前僕も義父に見られた。中学三年の時で、さすがにその時はショックだった。そのことを逆襲してきた。彼も見られたことがやはりショックだったのだろう。
このようなことが僕から客観視したカニエイの主な個性だ。彼と長く遊んだため性格や行動がよくわかる。カニエイも僕のことを知り尽くしている。大体二人で遊ぶのが常で、他の友人がいると本音がお互い伝わらず、僕らはつまらなくなる。なぜなら他の友人に気遣うからだ。だから遊ぶ時は二人が最高となっていた。気遣いなしのボロクソトークになる。
これが過去にたくさんのエピソードが生まれたのだ。まだまだ思いで深い面白い人生に残したいので、また遊んで貰いたい。そして大人になったカニエイの心情もえぐり出していきたい。
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