不思議なおもちゃ
通信販売でも書いたが、不思議な物を買うと騙された感じになってしまう。がっかりするとでもいっておく。
小学校のとき手品が好きで不思議だなと見てしまう。そして自分がやりたくなる。お金を貯めて手品グッズを買う。そして説明書を見てタネを知るとがっかりする。こんな単純なことだったのかとなる。箱を開け道具のタネがすぐにばれるときは、買わなければよかったとなる。せっかく小遣いを貯めて買ったのに、と。
当時『ミーバー』という一見白い粘土がテレビの宣伝で流れていた。これがガムのように伸びるのだ。キャッチフレーズは『伸びて、弾んで、絵がつける』だった。そんな不思議なのは買いたくなり、おもちゃ屋へ走った。
すると三百八十円と安かった。そして早々に帰り家で試した。十五センチほどの黄色い円の入れ物にそれは入っていた。白い粘土を手にとるとまず伸ばした。結構な硬さだった。おー、本当に伸びたと少し目を丸めた。弾むはビックリボールより弱くたいしたことはなかった。ただ絵がつけるというのは驚いた。新聞紙の字や写真へミーバーをつけると本当に同じ顔が映っていた。これには絶賛し、何度もつけてはこね直しを繰り返した。安かったしいい買い物をしたとなった。ただ日々過ごしていると飽きて弟に上げることにした。
だがいらないといった。なぜならすでに隠し場所を探っており、弟も遊んでいただろうから。
そしてテレビでまた不思議なおもちゃを宣伝している。それは『モーラ』というオレンジ色の細長い毛虫が外人の手の指でにょろにょろと動いているではないか。『なんだ、にせものの虫なのに五本の指を自由に自然と動いている。これはペットなのか?』と、もの凄く不思議にテレビの宣伝にかじりついていた。何度も見ていると当然と欲しくなる。ぼくはおもちゃ屋へ自転車で向かうことになった。
すると三百八十円だ。それなら小遣いをもらえば買えるため月初めの到来を待った。
いざ購入し、急いでぺダルをこぐ。
商品は丸まり透明のケースに入っている。ぼくはスイッチでもあるのか、それとも寝ているのかと思っていた。
モーラをペットにしたい。宣伝のようにコップから出てその辺を動き回る姿を思い出しながらにやにやと帰宅をする。
急いでケースを開けた。そのときモーラの下に小さなビニール袋と説明書が落ちた。なんだと思うより、モーラを手のひらに載せていた。だがびくともしない。揺すったりさすったりしたがとまったまま。なぜだ、モーラ、早く指をからませろ、と念じる。動く様子はまったくない。
落ちたビニールの袋には細い透明のひもが二本入っている。
「まさか」
とつぶやき説明書を開いた。そこには演じる図が描いてあり、まず透明のひもをモーラの伸びる鼻へ縛りつけることが書いてある。
ぼくはため息を吐いてがっかりした。これは手品の部類だった。
日ごろぼくはミーバーのように宣伝と事実の場合と、手品のようにタネや仕掛けがある場合と分けていたので、事実、を信じた自分の肩が落ちるのはいうまでもない。でも事実の場合はそれほどなかったりする。ほぼタネや仕掛けがあったのを購入していた。
アメーバーというパニック映画で見たことがある。水あめのような色の着いた植物と思ったが、それが広がり人々を次々に飲み込んでいた。スライムというアメーバーのような水あめを柔らかくしたおもちゃもあった。それは事実だったが、自然に小さくなくなってしまうので、あれはなんだったのだろうか。
いまから考えればミーバーのような粘土系かもしれない。外国からの輸入品だったのか、小学生にはよく売れたはずだった。
そんなことでぼくは不思議な物には興味があった。それが大人になりUFOに変わったのかもしれない。でも事実なのか地球製なのかはまだ答えが出ておらずわからなかった。星は何億以上とあるのだから宇宙人はそれに乗って観察に来ているだろうし、地球製もあるに違いない。つまり二種類が存在することがぼくの見解だった。
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