第13話「火力と火力と火力と火力(中編)」
「
───
通じあうアメリカ軍とエミリアに意識の遅滞などない。
すぐさま、海岸からドンドンドンドンッ!
と、銅鑼を叩くような音が木霊したかと思うと───。
シャシャシャシャァァァアアアア───!
…………ッッッ!
ズッドーーーーーーーーーーーーン!!!
大地が猛烈に沸き返った!
紅蓮の炎を巻き上げて!!!
「「「うぎゃぁぁあああああああ!!」」」
それは、隊列のど真ん中で砲火が炸裂し、そこにいた多数の兵らが舞い上がる。
当然、ぶっ飛んだ兵らは既に息をしていない。
砲撃とは、そんな生易しいものではないのだ!!
そして、次々にドカンドカンドカン!! と着弾し、帝国軍をぶっ飛ばしていく。
発射元は
とっくに照準を付けて待ち構えていたので試射の必要すらない───最初っから、全力の効力射だ!!
そこに、更に加わるのは近接火網!!
まずは、曲射火力───迫撃砲だ!!
「やりなさいッ!!」
『
スコン……ガキューーーーーーーーン!!
軽い音とともに放り込まれた60mm迫撃砲弾が、小気味のいい音を立てて発射される。
それらが連続して、発射に次ぐ発射!!
スコココココン……ガキン! ガキン! ガキューーーーーーーーーン!!!
猛烈な速度で装填される砲弾が、次々に砲口から飛び出し、帝国軍に死を撒き散らす。
そのうち、
ガッ……キィーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
連続した発射音はついに一つの音と成り果て発射!!
そして──────着弾!!!!!
ズン、ズン、ズン……!
ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
榴弾砲に負けないくらいの曲射火力が頭上から降り注ぐ!!
まるで、無慈悲な神の鉄槌の如き一撃が、血走った目でわけもわからず駆ける帝国兵の鼻先に降り注ぎ、彼らの身体をバラバラに吹っ飛ばす!!
「「「ぐわぁぁああああああああ!!」」」
それだけで、そうとも───それだけで帝国の誇る精兵たちが吹っ飛んでいく。
いや違う、それこそがだ!!
砲弾と砲兵こそが正義!!
火力がすべて!!
雑兵をいくら連ねても無意味!!!
戦場を支配するのは、砲兵なり!!!
次々に降り注ぐ、砲弾と砲弾と砲弾と砲弾と砲弾と砲弾と砲弾と砲弾───!!
ドガン、ドガンッ、ドガン!!!
「「あぎゃぁぁぁあああ!!」」
「「うぎゃぁぁぁあああ!!」」
豪快な笑みを浮かべていたギーガンも徐々に口の端が下がって行き、わなわなと震えだす。
そりゃあそうだ。
数万の軍勢をエミリア一人に指向して、何も出来ずに配下の兵がぶっ飛んでいくのだ。
その中には将軍もいる。
将軍でさえ、突撃する兵に流されるように、あれよあれよという間に人の波の飲みこまれ、気付けばアメリカ軍の砲火に囚われていくのだ。
だが止まらぬ。
兵らは止まらぬ。
突撃の命を受け、ただひたすら前へ前へ。
前線で何が起こっているのかも知らずに、前へ前へ。
ただひたすら屍を積み上げていく。
「ぐぬぬぬぬぬぬぅ!! たかが死霊が、こんなぁぁぁあ!」
「あははははは! どうしたの? こうしたの? そうしたの? 私はここよ。エミリア・ルイジアナはここにいるよ」
あはははは、あはははは、とエミリアは美しく笑う。
あはぁぁあ♡
そして、体の線をなぞる様にうっとりと下から上へと撫で上げると、
「どぉう?♡ 薄汚い魔族は私で最後……。さぁ、おいでなさい───最強の国家とやら」
───私が欲しいんでしょ?
「あと、たったの百メートルよ! さぁ♡ さぁ♡ さぁぁあ!!」
「ぐぬぬぬぬ! 舐めおってからにぃぃいい!! 征くぞ者ども、ワシが先陣を切るッ!! 続け!!」
そうして、ついにギーガンが前に出る。
大剣を引き抜き、ジャギィィンと軍配と交差させると、
「続けぇぇえ─────帝国万歳ッッ!!」
帝国万歳!
帝国ばんざーーーいい!!
「帝国万歳!!」
「「「帝国万歳!!!」」」
帝国万歳、帝国万歳、帝国万歳!!!
さすがに大将軍! そのカリスマたるや、兵士の士気をあげにあげると、さらに勢いを増して突撃する。
口々に万歳を叫び兵士は高揚していく。
帝国ばんざーーーーーーーーーーーい!!
「「「うおおおおおおおおおおお!!」」」
「「「うおおおおおおおおおおお!!」」」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
槍を、剣を、弓を──────魔法を!!
だが、
「───私を前にして『
そして、
アメリカ軍を前に白兵戦とは愚かなり。
エミリアの手が真っ直ぐに伸び、
「
振り下ろされる!!
『『『
ズジャキ───……!!
砲火に任せるにしていたアメリカ軍。
だが、鉄条網の後ろの護られた彼らとて、ただの
彼らの持つ武器───近接火器が一斉に殺気を放つ!!
それらが一斉に火を噴いた──────。
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