第13話「火力と火力と火力と火力(前編)」
「あは♪ 来た、来たぁ」
クルクルと舞い踊りながら、エミリアはアメリカ軍の作った仮設陣地の中にいた。
既に帝都の半ばまで侵入し、皇城の基礎が見える場所まで辿り着いた
廃材や、砂浜からドンドンと送り込まれる土嚢を積み上げ野戦築城の構え。
兵隊と兵隊。
分隊と分隊。
小隊と小隊の間隙を埋め、火線によって連携させる。
鉄条網は雑だが、しっかりと距離を測って有機的に、時には丸見えの地雷も敷設。
埋めている時間などない。
特に機関銃陣地と迫撃砲陣地には力を入れて、工兵隊を投入し迅速に掘り上げていく。
完成した傍から、砂浜から送り込まれた機関銃チームや迫撃砲分隊が予備の弾薬と共に、陣地に乗り込んでいく。
そうして、完成半ばではあったものの、帝国軍を待ち受けるには十分な陣地が完成していた───。
そこに来たのだ。
大声を張り上げ、家屋を薙ぎ倒し、戦友を踏みつけ、目を血走らせた帝国軍がッ!!!
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!
奇声、蛮声、大声!!
もはや、ネズミの大群と変わらない。
それを見つめるエミリアは身体を火照らせ、艶かしく指を這わせ、下腹部を撫でる。
あぁ♡
あぁぁぁ♡
「さぁ、さぁ、さぁ、」
さぁ!!!!
「来なさいッッ!! 魔族はここよ!! エミリア・ルイジアナはここにいるわよ!!」
軽戦車の上に立つと、エミリアは叫ぶ。
感極まって叫ぶ。
あぁぁぁぁぁぁ♡
───我ここにありと叫ぶ!!
「私が憎い? 私を殺したい? 私は死ぬべき?」
笑顔のエミリア。
燃える帝都にあって、異様な雰囲気を纏ってクルクルと舞い踊るエミリア。
少女が艶かしく、肉感的に官能を震わせて踊る。
そこに、
「───見つけたぞ!! 魔族めッッ!!」
巨躯の将軍───。
魔王領に侵攻し、魔族を殲滅した帝国軍の指揮官か現れた!
そう、かのギーガン大将軍がそこに来た!
「あら。指揮官先頭とは恐れ入るわね」
「ぬかせ! 売女が!! 聞け、」
軍馬を駆り、大軍勢を引き連れたギーガンは、一度手綱を退いて馬を後ろ足で立たせると、その上背で圧倒する。(ナポレオンのポーズ)
ヒヒーーーーーン!!
その不安定な姿勢のまま言った。
「……我こそは、元魔族領侵攻軍指揮官、大将軍のギーガン・サーランド!!」
───名乗れッッ!!
ギーガンの罵声の如き名乗りを受けて、エミリアも上品に笑い、名乗りを返す───。
「……我は
または、
「貴様らの怨敵にして、天敵───。今宵の悪夢の体現者……」
そして、
「──────最後の魔族だッ!!」
ぬん!! と腕を組み、黒いマントで覆われた肢体を晒しながらも堂々と言ってのける。
たった一人で、
たったの一人で!
数万の軍勢を前に、一人悠然と立つ!!
「ぐはははははははははははは!! 小気味よい小娘だ。そして、中々の胆力───気に入った!!」
ズドンと、馬が前足を降ろし、ギーガンが軍配をエミリアに突きつける。
「ひっ捕らえて、ワシの慰み者にしてくれるわッッ! 者ども、かかれぇぇぇえええ!」
「「「おおおおおうッ!!」」」
軍団が一斉に気鋭をあげる。
先ほどまでの狂乱が嘘のように治まり、ギーガンの一挙手一堂に皆が注目している。
さすがは大将軍。
さすがは最強国家の軍人!!
そして、元魔族領侵攻軍司令官!
いいわぁ、
そうよ───そうでなくっちゃ!
「あはは♪ 私が欲しいの……?」
捕らえて慰み者にする?
うふふふふふふふふ!!
あははははははははは!
ならば……。
ならば!!!
「──────ならば、やってみろっ!!」
おうよ!!!!!
「全軍、突撃ぃぃぃいいい!! 魔族を薙ぎ払え!!」
軍配を突きつけるのを合図に、数万の軍勢が明確にエミリアを指向する。
「「「「「おぉうッッ!!!」」」」」
そして、凄まじい勢いと足音でゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!! と帝都を驀進する!
その勢いの中にドーーン!! と立ち、軍を指揮するギーガンは、周りの破壊されていく家屋とは違い、兵らが自然と避けていく。
まるで大河のなかにギーガンという中州があるかのようだ。
これが帝国軍の大将軍のカリスマ───そして、威容なのだ。
「ゆけ! やれ!! アイツが我らが帝都を焼いた
殺せ!!
殺せ殺せ!!
殺せぇぇええええええ!!!!
「見ろッ! あの貧相な死霊どもを!───奴の配下のアンデッド兵など地面で震えておるわ! いかほどのこともないッ!!」
ニィと笑うギーガン。
そして、フフフとほほ笑むエミリア。
どちらも癇に障る
「舐めるな小娘!!」
「舐めるな人間!!」
サッと、手を掲げたエミリアは高らかに言う。
「
『『『
恐慌し、強行する帝国軍に向かってアメリカ軍の放火が咲いた……。
無敵の砲火が花咲いたッッッ!!!
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