第7話「ギーガン大将軍」
「な、何事だ?!」
前線を視察していたギーガン将軍は、帝都から響き渡った爆発音に目を剥いた。
大軍勢ごしに帝都を振り返ると───あぁ、なんてことだ!!
「て、帝都が燃えている───?!」
「しょ、将軍!! ギーガン大将軍!!」
真っ青な顔をして伝令が飛び込んできた。
その慌て方からもただ事ではない様子。
「なんだ! 早く言え───」
ぜぇはぁぜぇはぁ……。
「おぇ……。はぁはぁ、て、帝都を巡回中の憲兵隊からの通報です───」
憲兵?
「て、帝都沖合に不審なものが!」
「馬鹿者ぉぉお!! 見ればわかる! そんなものは報告ではない───もっと、」
伝令の胸倉をつかんだギーガン。
だが、彼も負けじと伝える。
「ち、違います!! 憲兵長官から、じきじきの通報なのです!!」
「なに?! 長官がそんな情報を──……!まさか、敵は海から?!」
その可能性に気付いたギーガンは真っ青になる。
敵は、てっきり南進してくるものとばかり……。
だから、海側に兵など配置していない。
それどころか、帝都自体がほぼ空っぽだ!
「くそ!! 急ぎ誰か物見を!! 今すぐ海側に早馬を走らせろッ」
その不審なものはなんだ?!
そいつが帝都を焼いているのか!?
こうしている間にも、帝都に次々と火柱が上がり、ゴウゴウと燃えていく。
今さらながら、帝都では緊急を伝える鐘があちこちで鳴っているが、それでどうなると言うのか!!
───ギィェェエエエエン!!
「む!」
「あ、危ないッ!! 飛竜がこんな近くまで!」
突如、低空飛行を仕掛けた飛竜を警戒して、護衛兵がギーガンを取り囲み盾を成す。
最悪の事態を想定して抜刀───。
しかし、飛竜は謀反にあらず。
ギーガンの上空で軽くホバリングすると、竜騎手が通信筒を落としてきた。
カラァン♪
と、軽い音を立ててバウンドしたそれを拾い、中の紙を確認した護衛がギーガンに差し出す。
竜騎手は未だ上空に遷移し、そこから見える情報を伝えようとしているのだろう。
確かに高い位置なら海まで見渡せる。
《海上にて、巨大な船舶を確認───火を噴き、帝都を焼いている》
「───だと?」
何を言っているんだこいつは?!
巨大船舶? 火を噴く?
要領を得ない内容がツラツラと紙面に踊っていた。
「───ええい! 要領を得ん!! 飛竜に手旗信号を送れ、『その船はなんだ』と言ってやるのだ!」
「はっ!」
ギーガンの指示により、通信旗手が小さな信号旗を取り出すと素早い動きで、竜騎手に伝える。
すると、
カラァァン♪
《全長約200m、幅約30m、総鉄製の巨大船が5隻、型違いが1隻、小型船舶多数》
「ぐぬぬぬ、何を馬鹿なことを!! 誰かあの竜騎手を引きずりおろしてこい!!」
「無理です! 兵が密集し過ぎていて着陸場所がありません!!」
ムッキー! と頭から湯気を噴きながら続けて言う!
「『寝ぼけるな! 鉄の船が浮くものか! そんな夢物語でなく、まともな報告をしろッ』そう言ってやれ!!」
通信旗手は戸惑いつつも、全文を間違いなく、竜騎手に送る。
すると、
カラァァン♪
《偽りにあらず! 小型船舶は多数が帝都の
「なんだあの竜騎手!! あとで軍法会議にかけてやる!!」
「え、えっと、それを送るのでしょうか?」
信号旗手がオズオズと尋ねる。
「アホぉぉお!! こういえ、『寝ぼけたことほざいてないで、まともに答えろ! その小さい船とやらは何をしようとしているッ』以上だ!!」
「は、はい!!」
バッバッバッ! 信号旗手は良く見える様に大きな動きで旗を振る。傍から見れば実に間抜けに見える事だろう───。
カラァァアン♪
《上陸しようとしている!!!》
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