ショートショート「ラモスの侵攻」

棗りかこ

ショートショート「ラモスの侵攻」(1話完結)


「ラモスです!隊長、ラモスがアメリカに現れました!!」

「ううむ、アメリカのNYか…。」

「はい、ハリウッド映画に呼び寄せられた模様です。」

隊長は、天を仰いだ。

「ハリウッド映画か…。」

このところ、怪獣も、出演料がうなぎのぼりに上昇していた。

「出演料は、どれくらいなんだろうな。」

「さあ。見当もつきませんが…。」

5000万ドルという噂もあった、出演料。

残念ながら、日本映画には、その資金が用意できなかった。


「さすが、ハリウッド映画。」

怪獣も金次第ということなのか…。

隊長以下TAC隊員たちはがっくしと肩を落とした。

「アメリカは、CGを駆使して、ラモスをもてなすと決めたらしい。」

CG…。

日本映画にもあるにはあるが、

CGを謳い文句にする程、当たっていない弱みがある。

「怪獣も、年々派手好きになりましたね。」

この十年、日本では怪獣の映画は作られていなかった。

怪獣が、オファーを無視しつづけていたからだ。

「どんな映画になるんでしょうね。」

「ラモスだけに、ビル街を動き回るだけじゃ済むまい。」

「面白そうですね。」


もう、井戸端会議になってしまったTACのミーティング。

ラモスの映画を、皆で見に行こうという話しで、

その日はお開きになった。


さても、平和な日本である…。


(おわり)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ショートショート「ラモスの侵攻」 棗りかこ @natumerikako

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ