第7話 頭の中の戦争

今乗っている電車の外には、リアルな世界が広がっている。


そんな想像力は持ち合わせているけど、アメリカの大統領がISの頭を殺したと達成感溢れる顔で演説している姿に、嫌悪感しか覚えられない私は、日本のメディアに洗脳されたサラリーマンそのものなのかもしれないと、何となく不安になる。


正義とか、悪が溢れる外の世界は、誰にとっても平等にあると言われているけど、本当は誰のための世界なのだろう。


私のためだろうか。


家族だろうか。


あなただろうか。


あいつだろうか。


考えても考えてもたどり着けない迷路に迷い込むと。吸い込まれるように電車が駅に停車する。


ドアが開く。


冷たい空気が流れ込む。


今日も始まる。


雨の中の日常。

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