ディスティニーブレイカー
夏蜜柑
プロローグ
───声が聞こえる
何百、何千、何万回と呼ぶ声が───
しかしその言葉は届かない。
届くのはその声の存在のみ。
───声が聞こえる
何百、何千、何万回と呼ぶ声が───
その声は諦めない。
届く日が来るその時まで。
天界と魔界の間に位置する星、ヴィタリア。
そこは多種多様な生命が生きる物質世界。エーテルに包まれたその星は火・水・地・風の四大元素で構成され、その属性が強い
ヴィタリアに存在する人型生命体をヴィータと呼び、その種族は大半が人間で占められるが、鬼人・竜人・人狼・ヴァンパイア・エルフ等の希少人種も分け隔てなく名称に含まれている。
この星に生きる生命は皆大なり小なり魔力を有しており、ヴィータは魔法と魔道具を用いて生活をしていた。
その魔力はエーテルを源とし、その区分は大きく2つ、白魔力と黒魔力に分けられる。
この魔力は含有量で見た目にも顕著に特性が現れ、魔力が強ければ強いほど能力にも特性が現れる。
魔力量が多く能力の高い者は
───遥か昔、ヴィタリアを挟んで天界と魔界は常にお互いを牽制し合い争っていた。その争いの余波を受けヴィタリアの地には幻獣や魔獣が溢れ返り、天使に
争いが拮抗した両者は更なる戦力を得るため、資格のあるヴィータに力を与えた。天界の者は加護を与え魔界の者は契約を交わした。
こうして力を得たヴィータが天界と魔界の仲裁役となり、長きに渡り均衡が保たれていたのだが……それも天魔大戦の勃発と共に終わりを迎える。
滅亡の危機に瀕したヴィタリアに一つの奇跡が起きたのだ。
人の身でありながら女神へと昇華した者がいた。その女神は命と引き換えに強大で強靭な結界を星に施し、その結界は外界に生きる全ての生命、そして外界からの力の全てを拒絶したのだ。
両者の消耗も激しく、ヴィタリアへの直接介在が出来なくなった事もあり、この大戦は終焉を迎えた。
その後、結界に守られた星は浄化され時間をかけて平和な世界へと変わっていく。
その奇跡から約1000年後の今日、一人の男児が目を覚ます。
宿命を背負い、運命の歯車を廻す者として……
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