旅行愛好会

@Contract

第1話 物語は突然に

皆さんは高校生活をどのように考えていた

だろうか


僕の場合は、アニメのように毎日男子同士

バカやって、甘酸っぱい恋をしてなんとも素敵で、毎日がダイヤモンドみたく輝くものだと思っていた


でも現実悲しいことに

毎日が毎日楽しいわけでもないし、宇宙人や超能力者、未来人すらいることはなかった

でもそんなに悪いものでもない

この一年は楽しかった、つくづく僕は周りのみんなに恵まれていた


高校生活一年目が終わり、束の間の短い

春休み

冷たくも温かい春の世界をリビングの窓から眺め、感傷に浸る


「これ、少ないけども」

「お、ありがとう〜」


玄関に声を傾けてみるとどうやら隣にこしてきたお隣さんが挨拶に来たようだ

「にしても又会えるなんてねぇ」

「ほんと、びっくり!」


会話の内容から察するに、母の昔の知り合いだろうか


春って、色んな出会いと別れの時期だよなぁ

にしたって俺にだけ17年春が来ないのは少しおかしいと思う、周りの奴らは知らないうちに春が来てるというのに

俺だけ、地球儀の軸がずれた世界で生活してるのだろうか


「じゃあ、娘さんもこっちに?」


二階に上がり、遊ぼうかと思ったがいま玄関に顔を出すのは少々面倒だ


「どっこい、せっと」


だるい体を起こしキッチンへと紅茶をいれに向かう


「へ〜じゃあ一緒の高校かぁ!」


「そうなるわぇ」


お湯が沸くまでの間、暇なので耳を傾けてみる


「ふふ、あの子がどんな反応するか、楽しみだわ」


「まさか、付き合っちゃったりなんてね」


「ふふ、それは楽しみね」


「じゃあ今度二人で、又ゆっくり顔出すから」


「ええ、楽しみにしてるわ」


バタン


いいタイミングで、沸騰した蒸気から吹き出る


さて、上がりますか

準備を整え二階に向かった


カタカタカタカタ


パソコンのキーボードの音がリズミカルに響く

この一年間で僕が得たスキルだ

カメラから写真をパソコンに送り貼り付ける


そこには、先輩たちの満面の笑みが並ん

でいる

みんな、一癖も二癖もある奴だが良い奴ばかりである


僕たちは、旅行愛好会とゆう名目で活動している

愛好会という名目上、顧問はなし

先生の目が届かないのを良いことに、

生徒だけでの旅行を満期しているが一応

自分たちのできまりを作った


入部には過半数の現、部員の承認

宿泊の際には親からの許可

部費からの活動資金が足りない際は自腹

金銭の貸し借りは無し


まあ、部活のブログやその他もろもろの収益のおかげで、ただでいけるんだけど

普通はあり得ないんだけど

あの人達頭おかしいからなぁ


そんな事を考えながら着々とブログを仕上げていく


「楽しそうだね、幸田」


「ああ、楽しかったよ実際、飯にデスソース

入れられたり、罰ゲームで女の子ナンパとかさせられたけど」


「ええ〜、それ楽しかったとか幸田ドMになっちゃった?」


「なってねーよ!つーかお前誰だよ!?」


「え、ちょ、それは普通に傷つくよ!?」


黒髪ロングで下のがふわふわしていてよく手入れされている

顔は控えめに言って、整っていてかわいいくて背も僕くらいまで高くてまるでモデルさんみたいだ

ファッションも雑誌に載ってそうなくらいに決まっている

じっくりと覗き込んでくる目からはまるで呪いでも受けたように離す事ができない

いや、その透き通っている綺麗な目に思わず心が掴まれる


「…ごめん、普通に誰?こんなかわいい女の子初めてみたんだけど?」


みるみる顔がリンゴのように赤く染まっていき、顔を逸らす


「かっ、かわいい何て言ってもらえて嬉しくなんかないんだからね!?」


「うわ、安っぽい」


「ここまでの反応してあげたのに、まるで反応無し!?」


「いやさ、この一年いろいろあり過ぎて耐性付いたわ」


「え、もしかして彼女と進展ありすぎてもうこんなのじゃ満足でき…」


「そうゆう事じゃない!生まれてこの方

彼女無しだ!バカにしてんのか!?」


周りの男の子は知らない間に出来てるのに

全く持って不思議だ

これを新しい学校の七不思議にしてもいいと思う


「してないよ!」


部屋の戸が開かれる


「あらあら、やっぱり仲良いわね」


「よくないですよ!聞いてください幸田くん

たら私の事忘れてるんですよ!」


「あらやだ、幸田最低ね、母さんそんな子に育てた覚えは無いわよ?」


「いやだって、分かんないもんは分かんないよ…」


本当に心当たりがないのだからしょうがない


「紗香ちゃんよ?覚えてない?」


「え、嘘?」


改めて姿を眺めてみる


自分の記憶の彼女は、男の子みたいで短髪で

着ている服も半袖短パン

暇があれば山行ったり、サッカーしたり

口調も男っぽくて、本当に今の姿が想像できない


「本当だよ!嘘ついてどうするの!」


「いや、そうだけど本当に変わり過ぎてて全然分かんなかったよ!」


だって、最後に会ったの小学生以来だし

もっと男っぽくなると思ってたんだけど


「いやまさか、そんなにお洒落で可愛い女の子になるなんて想像つかなかったし」


「だから素直に言葉にするのやめて!」


「そろそろ私は邪魔になりそうだから

紗香ちゃんのお母さんとお話しして来るわ」


飲み物とお菓子を置き終えて部屋を出ようと

更に爆弾を投下する


「紗香ちゃん、お泊まりもオッケーだから

したくなったら連絡してね〜」


「しませんよ!」


意地悪い笑みを残して母が部屋から退出

する


「全く、あなたの母さん昔からだな」


「俺もその昔の口調、久しぶりに聞けて嬉しいよ」


「へへ、テンパったり、油断してるとつい出ちゃうんだよね」


罰が悪そうに手を後ろに組む

そんな動作にすらどきりとしてしまう


「… …」


部屋の中が静寂が包む、しかしそれは

居心地の悪い物なんかでなく、お互いが

お互いへの想いを考え何から話そうか考えたものだろう


「あのね…何から話そっか?」


「そうだな、ここいらへんの場所って分かる?」


「ぜんぜん、初めて来た」


「じゃあ町を案内しながらのお話でも良いかな」


「うん!」


「まずバッティングセンターからが良いかな?」


容姿も変わったし、さすがに行かないだろう

少しからかってみる


「うん、そこからが良い!」


「そうゆうのは変わってないのね」


相変わらずスポーツは大好きらしい








日も暮れ空が赤く染まり始めた


「ただいま〜」


「お邪魔しまーす」


まず今日はバッティングセンターに始まり

ショッピング、ゲーム、カラオケなど色んな事をして遊んだ


どの時間もあっという間に過ぎてしまったが


「母さんいないの〜?」


「うちにいるみたいね」


「もうちょっと遊んで行かない」


「いいよ、何にしようか?」


「そうだな〜、ジェンガやらない?」


「ジェンガ?変わってるね、良いよ」


棚から取り出し、綺麗に立てる


「負けた方は罰ゲームにしないか?」


「え〜怖いよ」


「負けた方は勝った方の言う事をなんでも聞く、ただし金銭的な事や、r指定が来るような事は無しで」


てゆうか、俺がヘタレすぎてゲームでしかそんなの出来ないし


「それっだったら良いよ」


「よっしゃ!勝負じゃ!」


「望むところ!」


「じゃあまず、お先どうぞ」


「でわでわ」


ゆっくりと引き抜き、積み重ねていく

そんな単調な作業がしばらく続く


「花下は部活何入ってたの?」


「生徒会」


「生徒会!?ヤバイなそれ」


「凄いとじゃ無くてヤバイなの?」


「いやだって、ずっと下ネタ言う人とか

メタクチャ頭いい人とかいるじゃん!」


「何で前者みたいな人が出たかは知らないけど後者は確かにいたね」


「幸田君は?」


「旅行愛好会」


「何それ、へんな部活」


「ああ、へんな部活だし狂人が多いけど慣れれば旅行行き放題のいい部活だぞ」


「その狂人ってななに?」


「狂った人って意味だけど?」


「その意味はわかるよ!どうゆう人かって聞いてるの!」


「ああ、そうゆうとか」


しばらく考えて最も適切であろう言葉を捻り出す


「う〜ん、常識が通じない人」


「もう聞かないよ…」


何かを察してくれたようだ

さすがコミュ力SS+、どんなゲームでも

かなりの排出率の低さだろう


「花下モデルとかやってみれば?結構良さそうだけど?」


「いきなりなに!?それに私なんかじゃ無理だよ!」


「そんな事ないと思うんだけどなぁ」


少なくとも俺は美人な方だと思うのだが

あまり本人の自覚はないようだ


「もし、そう見えてるんだったら私の努力も

無駄にならなくて良かった」


「なんだ、好きな子でも出来たのか?」


「幸田君が勝ったら教えてあげるよ、代わりに私が勝ったら幸田君も、私の事下の名前で呼んでね」


「え?」



間抜けな声を出すと同時に、綺麗に積み上がったタワーが俺の動揺を素直に表すように綺麗に倒れる

もちろんと倒したのは俺


「ふふん、私の勝ち!」

「さっそく私の事、下の名前で読んでね」


「恥ずかしいよ!」


「何よ女の子じゃあるまいし、私はとっくに下の名前で読んでるのに」


「あ〜もぉ!分かったよ!」

「綾香さん」


「なんか他人行儀で嫌だ」


ぷくっと顔を膨らませそっぽを向いてしまう

ご満足頂けないようだ


「あやかちゃん」


「高校生にもなって、ちゃんなの?」


ヤバイ、残されたのはアレしかない


「いや頼むよ、さすがにそれは恥ずかしいし、そうゆうのそうゆう関係の人同士がやるもんだろ」


久しぶりにあってそんなのは今の俺にはハードルが高すぎる、どれくらい高いかと言えば

世界線を越えるくらいだ

いや、さすがにそれは盛ったけど


「むう…じゃあ、ちゃんで」


仕方なくと言った感じではあったが納得してもらえたようだ


「あやかちゃん」


「よし合格!」


「あーもう!つかれた!」


思いっきり後ろに倒れ込む


多分今日が人生で一番のラブコメポイントだろう、あとは下り坂だから楽だ


「これからずっとその呼び方だからね!」


「マジか」


「マジです」


この恥ずかしさに比べたら、クリスマスに

一人夢の国に行ったあの時の方が全然マシだ

あの時の広告料はおいしかったが何か大事なものをなくした気がした






「にしても本当にお泊まりになるなんてね」


「確かにな」


現在俺が床に布団を敷き、…あやかちゃん

にはベットに寝てもらってる


しっかりとシーツ類は全て取り替え、消臭剤を使用済みだ


「なあ」


「何どうしたの?」


「…やっぱ、何でもない」


「気になるよ」


ベットからグイッと顔をちかずけ、お風呂上がりのいい匂いが漂ってくる

見たくなるのをグッと抑え、出来るだけ無反応で返す



「…答えたくなかったいいんだけどさ

 どうして、可愛くなろうと思ったの?」


なんだかモヤモヤする


「う〜ん、禁則事項です」


「変わった言い方するな」


「でも実際、そんな深い理由はないんだ

年相応に気になった、それだけ」


「そっか」


「そろそろ寝ましょ」


時計に目を移すともういい時間になっていた


「そうだな、お休み」


「お休み」



静かな暗闇の中

彼の寝息が整い始めた

あれから意識を頑張って持ち続けて二時間

彼の元へと近づく


眼鏡を外すとどこか子供っぽい、彼の頬に指を当て語りかける


「君のせいだぞ」


あの時から私の気持ちは変わっていない

今日は嬉しさを抑えるのにいっぱいだった

今すぐ抱きついてしまいたかっったが

そんな事で彼から嫌われるのは嫌だった

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