センパイ!センパイ!
MASAMUNE
第1話 大好きな先輩
太陽の光が心地よい温かさをもって身を包む晴天の春。今日は光岬高等学校の入学式である。
「センパイ、いるかな。」
新しい制服に新しい靴、新しい鞄をもって、新生活への希望を胸に歩く少女も、今日から光岬高等学校の一年生だ。
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「おっはよー春奈!」
「おはよう瑠奈。」
自宅近くの最寄り駅で待ち合わせをしていた新一年生二人。
春奈と呼ばれた子はつい見入ってしまうような綺麗で長い黒髪の清楚系といった感じの少女で、言葉遣いの丁寧さも彼女の性格をよく表している。
そして瑠奈という子の方は、明るい栗色の髪をポニーテールにして、スカートもやや短めであり、元気で活発な印象が強い。
この二人に共通するのが、どちらも超がつくほどの美人というとこだろう。
そのせいか、今も朝の通勤時間帯で人が多い中、周囲の視線を集めている。
「じゃあ行こうか。」
「うん!」
まぁ、本人たちは全く気にしていないのだが・・・。
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光岬高等学校の正門には県内でも有数の大きな桜の木が道を挟むようにして二本植えられている。
さっきまではこの場所は新入生とその保護者や、体育館まで道案内をしていた生徒会の生徒で大渋滞をしていたのだが、今は入学式も始まっており、ここにいるのは一年生のクラス発表の掲示板を設置している何人かの生徒会メンバーだけだった。
「俺らも先輩になるんだなぁ。」
「そうだな。」
そこには、今日、新入生の姿を見て改めて自分達が二年生だと自覚した男子生徒が二人。
「もうちょっと何か感想ないのかよ?」
「別に今は部活もしてないから後輩と関わることなんて滅多にないだろ。」
「・・・まぁ、そうかもな。」
「なぁ進。」
「なんだ?」
進と呼ばれた生徒は掲示板にクラス表を貼りながら、呼ばれた方を見る。黒髪のツーブロックと整った顔立ちで、それなりにモテる人間なんだろうと想像できる。
「可愛い後輩は見つけたか?」
「・・・どういう意味だ?」
「そのままだよ。」
「バーカ、んなもん探してないっての。」
「そうかなぁ?朝から何かを探すように周りを見渡してたけど?」
「おい亮介。」
「んー?」
「殺されたいか?」
「・・・いや、勘弁。」
亮介と呼ばれた少年は進よりやや長めの金髪でイケメンだが、雰囲気のせいかチャラさを全く感じない。
この二人が新入生女子生徒の間で一番の話題になっていることを彼らは知らない。
「おい、進、亮、そっちは終わったか?」
「あ、はい終わりました。」
「亮はサボってましたけど。」
「おい!」
進と亮介と同じように生徒会バッチと腕章をつけた生徒が掲示板を確認する。ネクタイの色でわかるのだが、彼は三年の生徒会副会長である。ちなみに、今の三年は赤、二年は青、一年は緑のネクタイ、もしくはリボンである。
副会長の彼こと、毛塚 隆行と二人は仲が悪い。一応先輩と言うことで表面上は敬意をもって接しているが、大嫌いな人物である。
亮介と同じ金髪だが、進より短めで、サッカー部部長なだけあり体格も大きい方でそれなりのイケメンでもある。しかし、気にくわないのは彼が性格的問題がある、と言うところ。成績もそれなりに優秀な彼は生徒会に在籍しているが、その裏ではかなりの悪事を働いているらしい。
「よし、さっさと次の仕事に移れ、うちは暇じゃないんだ。」
そう言い捨てて彼は正門の外へと出ていった。まぁ察するに女のとこにでも行くのだろう。
「あー、まじ気に食わねぇ。」
「確かに、そこは同感だ。」
あんな男はすぐに忘れて、二人は体育館へ向かうことにした。
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