## 数年王国の終わり
## 特別な言葉の工場に関する記録:dump
ある書斎が壊れた。
最初は幾つかの書類の破損であった。すると正しい構文が分からなくなった。机から離れると書斎を作った頃の私がもう一人居て無駄な作業を繰り返そうとする。隣の部屋で執筆を続けるが隣の部屋の私の作業が私の仕事を無意味にする。新しい部屋から出るともう一つ同じ書斎がある。仲間がたくさんやってきた。それぞれみんな二人いる。欲深い人ばかりだから同じ人同士で喧嘩を始める。まずルールを作ろう。だけれど、会話は進まない。欲深い人しかいないから調整がつかない。既に話した相手だと思ったら、もう一人のその人。私もみんなもイライラし出す、自分同士、自分と他人で悪巧みをし出す。バレてしまう。それでもみんな悪巧みをする。離合集散の過程でルールが少しできる。すぐにそれは過去の構文になる。構文の規則性を一度書き留めたが誰かがそれを破いてしまった。喧嘩もあって書類が破損した。この部屋は書類のためにあるのだけれど、それを理解してくれる仲間は少ない。みんな欲深い。平等に暴力があるから所有や管理は貫徹できない。書きかけの書類は勝手に追記されるから筋が通らなくなって紙くずになる。もうすぐこの3つの部屋で言葉が通じなくなる。もう機能しない書斎なのだから仲間達はここに来なくなるだろう。思えばこの書斎で書かれた書類で世界が動いていた時期があった。私達は世界の中心だった。外で会う仲間達はこの書斎が機能停止した後でどう生活するのだろうか。僕達の世界の中心はもう壊れた。僕達は特別な書類を書けなくなった。今でもどこかに特別な書斎があるのだろうか。そこでは新しい時代の構文規則にどう対応しているのだろう。きっとそこで書かれた書類が私達の構文を変更したのだ。それは現実に対して私達がしていたこと。そこの主と交渉すれば私は新しい机を手に入れられるだろうか。でも、きっとその書斎では私達に都合がいい書類は作れない。干支が回ったのだ。私達は時代の隙間で栄華を極めた。そのことは新しい主が書き止めて、もう既に世に出回っている。許されるのなら新しい王国では民として幸福になりたい。新しい王への拝謁は許されるであろうか?
「yes.」
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