魔法の世界と先生と
雪月華@33331111
第1話 新しい先生
「ねー知ってる、アリカ!」
「ん、なにをよ」
「この前さぁうちのクラス担任が辞任したじゃない?」
「そう、だったっけ」
「そーだよ。ほんっとアリカってば人にキョーミ無いなぁ」
ふわり、とアリカの白銀の髪が風になびく。
窓を背景とした絵のようにとてもきれいなその光景に誰しも一度は想いを抱く。
「で、?」
「うん、でね、そのかわりのせんせいが来たんだよ、ヨーヤク!」
「へぇ・・・相変わらずミノカは情報が早いね。何て先生?」
「・・・ほんと、めっずらしーぃ。アリカが他人の事にキョーミ持つなんて。」
「もう・・・!どうでもいいでしょう?何て先生?」
「・・・アルゼ・フィールドフォール先生」
「変な名前。アルゼ、なんて。」
「だよねぇ、もうみんなその話題で持ちきりだよ」
「ふぅん」
それから誰にも聞こえない・・・聞かせない声で
「アルゼ、か」
と一度呟いた。
♦️♦️♦️
「はぁー・・・今日から、担任かぁ。」
アルゼ・フィールドフォールはまだ数え年で十三の少年だ。そんな幼い子供がなぜ高等部の担任なのか。それは紛れもなく彼の父親 デント・フィールドフォールの影響だった。デントは昔、神様のような存在と戦い世界を救った。そしてアルゼを授かった。とても幸せだった。豪快だが優しい父と穏やかな母。二人にかこまれてアルゼはひょっとしたらそのときは世界で一番幸福な少年だった。だがアルゼか十歳になるときアルゼの住んでいた都は謎の怪物に教われアルゼは人混みに流された。一人、不安の夜を過ごしていた。幾度も幾度も幾度も幾度も大丈夫と自分に言い聞かせたし、父は強い、母もすぐもどってくれると信じていた。そして都は難を逃れた。ただ二人の犠牲をもって。
その夜を境にアルゼはついに天涯孤独のみとなってしまったのだった。
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