### 黄昏の向こう側

処女を

辞めた日付なんて

もう忘れた。

でも、今日の日付は

絶対に忘れない。

忘れたくない。


だから、

毎年、お赤飯を

炊いて

お祝いをするんだ。


黄昏の魔術師は

料理が得意らしいから

セカイで

一番美味しい

お赤飯をメインに据えた

フルコースを

作ってくれる。


子供が

12歳くらいに

なったら

種明かしをしようか。

毎年、

暑い盛りの盂蘭盆のこの日に

終戦記念日間近のこの日に

お赤飯を

食べる理由を。


最初の子供は

女の子がいい。

二番目は

男の子を産みたい。

三番目は

どっちがいいかな?


生活費のことや

子育て費用のことも

考えなくちゃ。


今日は

ただただ

身体の表面で

ここに確かにある

彼の温もりを

感じよう。

いつも

丁寧に丁寧に

優しく優しく

身体を洗っていて

良かった。


ただただ

身体の内側で

彼の硬さの余韻を

感じよう。

今まで

苛烈な役目を

押し付けて

冷たく非情に

扱っていたのに

こんなに

嬉しくしてくれる

膣さんと子宮さんに感謝だ。


明日を楽しみにしながら

安心して

眠りにつく。

ずっと

こんな日を

夢見てた。


愛する人に愛される。

愛する人が

少年のように

隣ですやすや眠っている。


ありがとう。神様。

生まれてきて良かったよ。

ありがとう。お母さん。

人生のパートーナーを

連れて

お礼を伝えにいくよ。


幸せだなあ。

おやすみなさい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る