### アイのための決意

薄汚れた路地裏は

眩い表通りと違って

あまり気を張らずに済んだ。


「涙には浄化の作用がある。」


黄昏の魔術師がくれた

その呪文を繰り返しながら

空の青い部分を見ることを決意した。


不正誘致された五輪に

生命を輝かせる

マラソン走者の汗のような

美しい涙がたくさん零れて

気分は楽になっていった。

それはそれは

大量に

零れて流れた。


黄昏の魔術師と一緒に生きよう。


彼の性器に似たおもちゃなんか欲しくない。

彼のほっそりとした身体を包みたい。

彼が本物でないという優しさも

ぜんぶぜんぶ

包んでしまいたい。


おかしな衣装に包まりたい。


わたしは彼を愛している。

それだけで何もかも十分だ。


ずっと一緒に

いつも傍に居て欲しい。

そんな気持ちを伝えよう。


きっときっと、絶対に、

あの人は

本当にわたしを愛してくれる。

わたしはこのセカイを愛していける。

絶対に大丈夫。


早く。早く。

会いたい。抱きしめて欲しい。

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