### アジアの純真

陽射しが照りつける爽やかな空の下、

楽しげな人々が行き交う街中で、

涙を堪えて

走った。


あまり汗をかいても困るから

コンビニに入って

アイスを買いに来た客の振りをすることにした。

本当にアイスを買おうと思ったけれど、

この前買って意外に美味しかった

期間限定のチョコミント

を買おうと

思ったけれど、

美味しいものなんて絶対に食べたくなかった。


2リットルの

PBの水を手に取って、レジに向かう。


搾取されているであろう

東南アジアを思わせる

慣れたレジ捌きの店員が

テキパキと対応してくれた。


「袋は要らないです。」

「はい。ありがとうございます。」

「98円になります。」

「103円で。」

「5円のお返しになります。」

「ありがとうございます。」

「ありがとうございました。またお越し下さい。」


勤勉な労働者との会話を済ませて

店の外に出ると

涙が溢れてきた。


止まりそうにない。


こんな風に泣いていたら、

誰かに心配をかけてしまう。


人目につかない

路地裏に行かなければいけない。

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